現代のビジネスに活かすには?
外部環境の「脅威」を組織変革の追い風にする
このマリア・テレジアのリーダーシップから、現代の経営者が学べる重要な視点があります。それは、「外部環境の脅威を、改革を推し推し進める原動力(推進力)に変える」ということです。
歴史と伝統のあるオーストリアにおいて、中央集権化や常備軍の創設、さらには身分を問わない人材登用といったドラスティックな変革は、既得権益を持つ貴族層からすれば決して歓迎できるものではなかったはずです。普通であれば激しい抵抗に遭い、頓挫していてもおかしくありません。
しかし、「シュレージェンをプロイセンに奪われた」という圧倒的な危機感が、社内(国内)の抵抗を抑え込み、改革を前進させる強力なエネルギーとなりました。
組織が変わるためのエネルギー
これは企業経営においても全く同じことが言えます。
市場環境の変化、競合の新規参入、技術革新、あるいは人口減少など、外部環境の脅威は組織に強い危機感をもたらします。しかし、優れたリーダーはその危機感を単なる不安で終わらせず、「組織が変わるための必然的な動機(エネルギー)」へと転換します。
重要なのは、脅威そのものの大きさではありません。リーダーが「なぜ今、私たちは変わらなければならないのか」という大義名分を組織全体で共有し、危機を改革のレバー(梃子)として活用することです。
外部環境の変化を嘆くのではなく、むしろ組織をドラスティックに変革するための「追い風」として捉え直す――ここに、マリア・テレジアが示したリーダーシップの本質があるのではないでしょうか。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。















