「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。
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「ことば」を人を動かすおもちゃとして使い始めたサイン
食卓で突然「うんち! おしっこ! うんち!」と叫び始めるわが子に、頭を抱えた経験はありませんか。
思わず「やめなさい!」と叱りたくなりますが、少し待ってください。
これは子どもが言葉を「意味を伝える道具」としてだけでなく、「人を動かすおもちゃ」として使いこなし始めたサインです。
いわゆる「汚い言葉」の連呼は、幼児期によく見られる現象です。
この時期の子どもは、言葉そのものの意味よりも、「その言葉が周囲にどんな反応を引き起こすか」に強い興味を持ち始めます。「お父さんが笑った」「お母さんが困った顔をした」。
その反応を、目をキラキラさせながら観察し、次にどんな言葉を使うかを選んでいるのです。
たとえば、夕食中に突然「うんち!」と叫んで家族が爆笑した翌日、今度は「おならぷー!」と言葉をアレンジして反応を試す子がいます。
さらにその翌日は「うんちぷりぷり!」と表現を進化させてくる。
これは偶然ではありません。言葉の効果を検証しながら、より笑いが取れる表現、より相手が反応する言葉を探しているのです。
小学生になると、笑いの取り方ももう少し高度になってきます。
これは言語化において非常に重要な能力の芽生えです。「この言葉を言ったら、みんなどんな反応をするだろう」を予測しながら言葉を選ぶ。
この思考のプロセスは、相手を意識して言葉を選ぶ力、すなわち言語化力の土台を形成します。社会人がプレゼンする際に、相手の反応を見ながら言葉を選ぶ、その原型とも言えるものです。
「うんち! おしっこ!」連呼は、子どもが言葉で世界に働きかけようとしている証拠です。
汚い言葉に眉をひそめるのではなく、「言葉の実験をしているんだな」と少し余裕を持って見守りましょう。その小さな実験の積み重ねの先に、広大な言語化の世界が待っています。
拙著『こども言語化大全』にも、うんち、おしっこを使った例文がいくつか入っています。ぜひ、皆さんで笑いながら楽しんでもらえると嬉しいです。
*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。






