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なぜ人気の定食屋の日替わりメニューは、いつも「3種類」に絞られているのか?Photo: Adobe Stock

選択肢が「多い」ことは、
必ずしも「親切」ではない

 行列のできる定食屋の黒板を見ると、日替わりメニューはたいてい「A・B・C」の3種類程度。焼き魚、生姜焼き、麻婆豆腐、そんなふうに絞り込まれています。

 これだけ人気のあるお店なら、もっと多くの選択肢を用意して、あらゆるお客様の好みに応えたほうが良さそうなものです。しかし、実際に選択肢を増やしているお店は多くありません。

 実は、この「あえて3種類に絞る」という設計は、メニューを考えるのが面倒だからではありません。

 お客様に「即決」してもらい、店の回転率と満足度を同時に高めるための、計算された販促の仕掛けなのです。

選択肢が増えるほど、決断できなくなる
(選択のパラドックス)

 人間が一度に処理し、比較検討できる情報の量には限界があります。選択肢が増えれば増えるほど、お客様は「どれが一番自分に合っているか」を吟味する負担が大きくなり、決断そのものに時間がかかるようになります。

 これは「選択のパラドックス」と呼ばれる現象で、選択肢が多いことは一見親切なようでいて、かえってお客様を迷わせ、満足度を下げてしまうことがあります。

 定食屋のように回転率が重要な業態では、この「迷い」は機会損失に直結します。

「3」という数字が生む、ちょうどよい安心感
(認知しやすい選択肢数)

 もう一つの理由は、「3」という選択肢の数そのものにあります。

 人は一度に多くの情報を記憶・比較するのが苦手ですが、2~3程度の選択肢であれば、それぞれの特徴を瞬時に把握し、直感的に選ぶことができます。

 さらに、選択肢が3つあることで、お客様は「選ばされた」のではなく「自分の好みで選んだ」という納得感を持ちやすくなります。

 1つしかなければ選ぶ楽しみがなく、5つも6つもあれば迷いが生まれる。3は、決断の速さと選ぶ満足感を両立させる、ちょうどよい数なのです。

他の業種でも使える
「絞り込みによる即決」の設計

 選択肢を絞ることで決断を早め、満足度を高めるこの設計は、他の業態にも応用できます。

パン屋の日替わり惣菜パン:
 種類を多く並べるのではなく「本日のおすすめ3種」に絞ることで、お客様が迷わず手に取れるようにする

・美容室のカラーメニュー:
 数十色のカラーチャートではなく「人気の3トーン」をまず提示し、選びやすさを優先してから細かい相談に応じる

・保険や通信サービスの窓口相談:
 最初から全プランを見せるのではなく「多くの方が選ぶ3プラン」に絞って提示し、比較の負担を減らしてから詳細に入る

まとめ

 人気の定食屋が日替わりメニューを「3種類」に絞るのは、単に仕込みを楽にするためではありません。

「選択のパラドックス」により、選択肢が多いほどお客様が決断しづらくなることを避け
・「3」という認知しやすい数の選択肢により、直感的な即決と「自分で選んだ」という満足感の両方を実現し
・回転率を落とさずに、お客様の満足度も同時に高める

 という、選択肢を「絞る」ことによって、かえってお客様の決断と満足度の両方を後押しする販促戦略なのです。

岡本達彦(おかもと・たつひこ)
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。