「なぜこうなったの?」と聞いているつもりが、じつは自分の答えを押しつけていた――そんな経験はないか。「質問」の形をした「詰問」が、部下をトラウマにしていく。その境界線はどこにあるのか。SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超える「にっしー社長」こと西原亮氏の著書、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに、誰でも「しごでき」になれる令和の仕事の基本を解説する。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

職場で嫌われる人は「なぜ?」と聞く。好かれる人はどうする?

「なぜ?」と聞きながら、答えを押しつけていないか

ミスが起きたとき、原因を探ろうと部下に問いかける。
「なぜこのミスが起きたんだろう?」
一見、フラットな質問に聞こえる。
しかし著者は、気づかないうちに詰問になっているケースがあると指摘する。

それは、「上司が自分の欲しい答えを部下に押しつけているとき」だ。
部下がどう答えようとも、上司の想定と違えばすべて否定される。
これは質問ではなく、誘導尋問だ。

「質問」が「詰問」に変わる瞬間

「なぜなぜ分析」という言葉があるくらいに、「なぜ」という原因追求や、「どうしたらよいか」などの問いかけはよく行われています。しかし、気がつかないうちに部下を詰問してしまっていることがあるのです。
それは「上司が自分の欲しい答えを部下に押し付けているとき」です。
リーダー:「なぜこのミスが起きちゃったの?」
部下:「おそらく原因は、私が言葉の意味を理解せずにお客様に伝えてしまったことです」
リーダー:「違うよね? そもそもプロジェクトの自分の役割すら理解してないし、確認することを怠ってたんじゃないの?」
部下:「いや、違います。それは……」
リーダー:「違わないよね? だって実際に自分の役割を言葉にできる? できないでしょ」
つまり、このリーダーは部下がどんな回答をしようとも自分が欲しい答えでなければすべてを否定し、自分が思っている回答を部下に押しつけていたのです。その結果、部下がどんなに違うと言っても、上司が求める回答を飲まなければ終わらず、挙げ句の果てに「全然素直じゃない」などと言われ、部下は改善するどころかただトラウマになってしまうだけなのです。

このやりとりを読んで、「自分もやっているかもしれない」と感じた上司は少なくないはずだ。
部下が自分の考えを答えても、「違うよね?」と否定する。
最終的に部下は「上司が求める答え」を飲まざるを得なくなり、改善ではなくトラウマだけが残る。

さらに問題なのは、その後だ。
「全然素直じゃない」と言われる部下は、「素直でない」のではなく、「自分の認識を否定され続けた」だけだ。
上司は指導したつもりで、部下の自信と信頼を削っている。

「好かれる上司」は、質問と指摘を分けて使う

著者が示す解決策は、シンプルだ。
質問と指摘を、明確に分けること。

もし上司の中にすでに「こうだったのではないか」という考えがあるなら、
「私はこう思うのだが、どうか?」と「指摘」として伝える。
本当に相手の考えを聞きたいなら、
「あなたはどう思う?」と聞いて、答えに耳を傾ける。

この二つを混在させた瞬間、質問は詰問に変わる。
「聞く」と「伝える」のメリハリを意識するだけで、同じ言葉がまったく違う意味を持つ。

次に部下に問いかけるとき、「これは質問か、指摘か」を先に決めてから口を開くことだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)