年をとったら肉より野菜。脂っこいものは控えめに――そう思って食事を変えてきた人は多い。しかし医師は、70代以降の食事に関してまったく逆のことを言っている。その根拠とは。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
「体重が減った」は、必ずしも喜んでいい話ではない
体重が落ちてくると、「ダイエットできた」と感じる人もいるかもしれない。
しかし著者は、その「体重減少」の中身を見極める必要があると言う。
脂肪が落ちたのであれば、大きな心配はない。
しかし筋肉が落ちてきているのなら、それは深刻なサインだ。
特に、肉や魚を食べる量が減ってきたと同時に体重も落ちてきた場合、著者は「非常に危険」と表現する。
70代以降、たんぱく質は「最重要栄養素」になる
もし体重も減ってきた場合、脂肪が落ちたせいならあまり心配はないですが、筋肉が落ちてきたのならゆゆしき事態です。
つまり肉や魚を食べることが減り、同時に筋肉も減ってきたら非常に危険と思ってください。
ということで、70代以降はたんぱく質、具体的には肉や魚をたくさん食べることがとても重要です。
野菜も重要ですが肉も重要です。血液中のたんぱく質濃度が低下すると入院や死亡のリスクが上がるという研究結果も出ています。
時間がある時には金がない、金ができた時には時間がない、そして金も時間もできた時には体力がないということにならないように、たんぱく質を十分に摂ってください。
著者が示す研究結果は明確だ。
血液中のたんぱく質濃度が低下すると、入院や死亡のリスクが上がる。そういうデータがある。
野菜も大切だが、肉や魚もそれと同じくらい大切だというのが著者の立場だ。
「年をとったら肉は控えめに」という考え方は、この年代には当てはまらない可能性がある。
もちろん、持病や消化機能の状態によっては、食事内容について医師に相談する必要がある。
特に腎臓疾患がある場合は、たんぱく質の摂取量に制限がかかることもあるため、自己判断は禁物だ。
「体力があるうちに」しかできないことがある
著者はこんな言葉でまとめている。
「時間がある時には金がない、金ができた時には時間がない、そして金も時間もできた時には体力がない。」
体力は、気づいたときには失われている。だからこそ、今のうちに積み上げておく必要がある。
たんぱく質を十分に摂り、筋肉を維持することは、老後の活動力と健康寿命を守る基盤になる。
「食べられるうちに、しっかり食べる」。その意識が、10年後の自分を守ることにつながる。
今日から試すなら、毎食に肉か魚を「一品」加えることを意識することだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
●「健康」はもちろん、ダイエットから仕事まで「いつもの食事」が人生を変える!
世間には数多くの健康法があふれています。
そして健康意識の高い人ほど、新しい情報を入手し、自分の生活に取り入れています。
しかし、その結果「本当の健康」を得られている人はどれほどいるでしょうか。
ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
また「健康意識」の高まりを狙った企業のマーケティングの影響で「必要のない食品」や「効果の薄いサプリ」を購入してしまう可能性もあるのです。
そんななか、食事対する必須知識として「栄養学」への関心が高まっています。
本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
誤解しがちな栄養に関する知識を正し、実生活のなかですぐに取り入れることができる具体的な食べ方や食材、食品がふんだんに掲載されています。
基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ