ハイテク株のバブルを懸念? ここが逃避先だILLUSTRATION: ALEX NABAUM FOR WSJ

 あなたが米国株式市場の過剰な集中や過大評価について懸念しているなら、欧州は休暇を過ごす場所にとどまらず、投資先となる。

 多くの読者から米国株や人工知能(AI)ブームへの過剰なエクスポージャーを懸念しているという電子メールが届いている。彼らはバブルではないかと警戒している。イノベーションと潜在成長に対して非常に高い値付けが続く中、米宇宙開発企業 スペースX の最近の新規株式公開(IPO)や今後控える米AI開発企業オープンAIや同業アンソロピックのIPOにより、こうした不安が高まっている。

 読者の多くは新興国市場が「より安全な」代替投資先になるのかと聞いてくる。

 その答えはノーだ。アカディアン・アセット・マネジメントのオーウェン・ラモント氏によると、5月には世界の全株式市場のリターンのうち、約8%が韓国の SKハイニックス によるものだった。新興国市場の中で韓国と台湾は少なくとも米国と同程度にAIブームにさらされている。

 だが欧州は違う。

 S&P500種指数との連動を目指すインデックスファンドでは、資金の47%が二つのセクター、つまりテクノロジーと通信に集中し、米半導体大手 エヌビディア だけで約8%を占める。米国株の長期のインフレ調整後株価収益率(PER)は41倍となっており、四半世紀以上も前の過去最高水準に近づいている。

 デンマークといった幾つかの例外を除き、欧州市場は米国よりもはるかに集中度が低い。

 MSCI欧州指数で最大の銘柄はオランダ半導体製造装置大手 ASML であり、構成比で5%を占める。ハイテク株は指数全体の約10%にとどまり、比重はS&P500の4分の1である。最大セクターは金融で、次いで資本財、ヘルスケアが続く。

 また、米国株に比べると、欧州株は割安だ。ニューヨークの調査会社インデックス・スタンダードのローレンス・ブラック氏によれば、欧州株の長期のインフレ調整後PERは平均で23倍未満となっている。これは米国株の半分強の水準であり、過去最高水準からは程遠く、5年前の水準を大きく下回っている。

 そう、欧州は投資の旧世界だ。人口の高齢化、硬直化した経済、重い債務負担、肥大化した政府の官僚制度、イノベーションの軽視、輸入エネルギーへの過度の依存といった問題を陳列する野外博物館のような存在だ。

 過去10年間、米国株のパフォーマンスが欧州株を150ポイント余り上回ったのも無理はない。

 そして、目下のところ、見出しは暗いものばかりのようだ。欧州中央銀行(ECB)は先頃、利上げした。ウクライナでは今も戦争が続いている。エネルギー価格は5月に推定11%上昇した。米国の関税は欧州の輸出業者を直撃している。

 ファクトセットによると、投資家は撤退を続けており、今年に入ってこれまでに、欧州株に投資する上場投資信託(ETF)から約5億ドル(約800億円)を引き出した。