「言語化」という言葉を耳にすることが増えた。「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」のどれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、話題の書籍「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の著者・山口拓朗氏が、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
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表面化した感情の奥に隠れているもう一つの感情
怒りっぽい人、落ち込みやすい人、気分の波が激しい人。こういう悩みを抱える人の中には、次の2つの課題が隠れている可能性があります。ひとつが「感情の仕組みを知らないこと」で、もうひとつが「その仕組みに応じた言語化ができていないこと」です。
感情には、「一次感情」と「二次感情」があります。
私たちが日常的に感情として認識している恥ずかしさ、焦り、後悔、イライラ、嫉妬などは、自分で認識しやすい二次感情です。二次感情は、言うなれば「表面化した感情」です。
その奥に隠れているのが「一次感情」です。不安、悲しみ、恐れ、痛み。こうした、より根源的な感情が一次感情です。二次感情とは、一次感情が形を変えて現れた感情にすぎません。一次感情は心の奥底に隠れているぶん、自覚しにくく、他人にも気づかれにくい、という特徴があります。
たとえば、部下がミスしたときに出てくる「なんでミスするんだ!(イライラ)」という感情は二次感情で、その根っこには、「プロジェクトが失敗するかもしれない」という恐れや、「なぜ早く相談してくれなかったのか」という悲しみが隠れているかもしれないのです。
自分の「イライラ(二次感情)」に気づいたとき、その奥にある「本当の気持ち(一次感情)」を認識して言語化することができれば、イライラという二次感情にのみ込まれなくなります。
つまり、「オレはプロジェクトリーダーとして失敗を恐れている」と口にしてみるのです(あるいは、書き出してみる)。
一次感情を言語化するメリットはほかにもあります。感情が生まれるメカニズムを理解しているため、同じパターンの感情に振り回されにくくなります。また、本当の気持ちである一次感情を人にも伝えることで、気持ちが落ち着き、周囲の人と建設的なコミュニケーションを図りやすくもなります。
一次感情を言語化することは、感情を知的にコントロールすることにほかなりません。二次感情に翻弄されそうになったときこそ、その奥にある一次感情を掘り当て、言葉にしてみましょう。やがて気持ちがラクになり、問題の解決策も見つかりやすくなるでしょう。
*本記事は、「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」の著者・山口拓朗氏による書き下ろしです。








