6月28日、日本損害保険協会の新会長に、日本興亜損害保険社長の二宮雅也氏が就任した。損保業界の前期決算は、自然災害によって発生した保険金の支払いが減少した半面、資産運用環境の好転により多くの会社が黒字転換となった。だが一方で、主力の自動車保険は度重なる値上げなどで改善の兆しを見せるが、依然として厳しい状況に変わりはない。その中で損保協会長に就任した二宮会長に、今後の取り組みを聞いた。

ふたみや・まさや/1952年2月25日生まれ。兵庫県出身。1974年に日本火災海上保険(現日本興亜損害保険)入社。執行役員社長室長や専務などを経 て2011年6月から社長。12年4月からNKSJホールディングス会長も兼務。13年6月28日に日本損害保険協会の会長に就任
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――今期の取り組みについて教えてください。

 今年度は、協会が昨年策定した第6期中期基本計画(2012〜14年度)の中間の年にあたります。私の役割は、昨年手掛けてきたことはできるだけ具現化して、成果を出していくことです。

 また、多少時間が必要なものについては、来年完結するように課題だしをしっかりやっていきます。それが、中計の真ん中の年の役割だと思っています。

――重点課題として3点挙げています。

 一つ目は、事故や災害、犯罪による社会的損失の低減に資する取り組みです。保険事業そのものがお預かりした保険料を適正、公正に配分するのが役割ですから、そこに詐欺のような犯罪行為が絡んでくることは、撲滅しなければなりません。それが事業者の使命ですので、保険金詐欺についてはしっかりと対処していきます。

 不正請求に関しては、昨年10月から全社のデータを集めて、損保協会で不正請求データベースを整備しました。今年の1月から不正請求の対策室を立ち上げました。まだ始まったばかりですが、いろんなかたちで情報が入ってきています。この問題にはこれまで個社ごとに対応していましたが、敵もさることながらあの手この手できますので、統一したことの意義は大きいと思います。

 そして、今後はデータベースの項目を増やそうと考えています。例えば、不正請求の当該者だけでなく関係者のデータであったり、事故報告が入った時点でデータベースと付き合わせたりすれば、今まであまり表に出てこなかったことがあぶり出されるようになります。加えて、このシステムには、不正請求の分析機能があります。外国のシステムですが、6月から導入します。

――不正請求や詐欺は増えているのですか。

 消費者に対する意識調査を行うとモラル感には差がありますね。例えば、事故と直接関係ないにも関わらず、以前に付けた傷も一緒に請求することについてアンケートを採ると、よくないことだという意識が低いのです。これは、結局、料率にはねかえり、保険料が高くなる要因となります。

 他にも、潜在的、気づいていない不正請求もあると思います。諸外国の例を確認すると、英国や韓国では潜在的な不正請求の割合が5~10%があるといいます。各社の努力だけではなく、データベースを一緒にすることでより精度が上がると思います。