体力をつけようとしても、「がんばりすぎ」ては続かない。大切なのは、限界まで追い込むことではなく、翌日に回復できる範囲で「少しきつい負荷」を重ねることである。では、その負荷が自分に合っているかどうかは、何を見ればわかるのか。その見極めのコツを紹介する。
Photo: Adobe Stock
少しきつい負荷を組み込む
体力をつけるための「負荷」を考える上での基本方針はシンプルである。それは、翌日におおむね回復できる範囲で、少しきついレベルを繰り返すことだ
健康維持や仕事のための体力を高めることが目的であれば、無理を重ねるのではなく、この回復可能な負荷の反復こそが、体を強くしていく上で合理的な方法となる。
翌朝のチェック:この3つがそろえばちょうどいい
負荷の設定が適切だったかどうかは、翌朝の自分自身の状態で判断できる。
・前日と同じ動きを、大きな違和感なく始められる
・体の軽さや集中力の立ち上がりが、普段と大きく変わっていない
この3つの条件がすべてそろっていれば、その負荷はあなたにとって回復可能な範囲に収まっている可能性が高い。
逆に、体が重い、あるいは集中しづらいといった状態が続くようなら、それは回復が追いついていないサインだ。
その場合は、いったん強度や量を下げ、回復に専念する日を意識的に挟もう。
負荷の増やし方のルール:上げるのは「1つだけ」、そして少しずつ
具体的な強度の設定は、持久系と筋力トレーニングでそれぞれ次のように考える。
・筋力トレーニング:「あと1~2回はいけそう」と感じるところで止め、あえて余力を残して終える
研究によれば、毎回限界まで追い込まなくても、適度な負荷と回数でトレーニングを継続すれば、筋力や筋量は十分に向上することが示されている(*1)。むしろ、常に限界まで追い込むと回復が遅れ、結果としてトータルの活動量やトレーニングの継続性を損ないかねない。
強度の上げ下げは、ほんのわずかな調整でよい。同じ条件で数回のセッションを無理なくこなせるようになったら、時間、回数、あるいは重さのうち1つだけを少し増やして様子を見る。
間隔も重要だ。筋力トレーニングで同じ筋群をしっかり使うなら、目安として48時間前後は間を空ける。下半身、上半身、体幹のようにローテーションすれば、休ませながら続けられる。低~中強度の有酸素運動やフォーム練習は、強い疲労が残っていなければ日々取り入れてもよい(*2)。
もし、痛みや鋭い違和感、明らかな寝不足、あるいは集中力の著しい低下などがあれば、ためらわずに強度や量を下げる判断が必要だ。
強さや持久力は、誰かと競うことで急激に伸びるものではない。翌日に回復できる範囲を基準にしながら、少し上げては反応を確かめ、必要に応じて戻す。
この地道な往復を積み重ねることが、結果として体力の器を広げ、日々の仕事で安定して高いパフォーマンスを発揮できる土台を育てていく。
(本記事は、『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』の一部を抜粋・編集したものです)
1. Grgic J, Schoenfeld BJ, Orazem J, Sabol F. Effects of resistance training performed to repetition failure or non-failure on muscular strength and hypertrophy: a systematic review and meta-analysis. J Sport Health Sci. 2022 Mar;11(2):202-11.
2. Piercy KL, Troiano RP, Ballard RM, Carlson SA, Fulton JE, Galuska DA, et al. The physical activity guidelines for Americans. JAMA. 2018 Nov 20;320(19):2020-8.






