昨日は夕方で集中力が切れたのに、今日は夜まで頭が冴えている。そんな「日ごとの波」を、気合いや根性のせいにしていないだろうか。実は、仕事のパフォーマンスを左右する体力は、筋肉や持久力だけで決まるものではない。大事なのは、いま自分の中にある体力をどれだけ引き出せる状態にあるかだ。1万人以上の患者を診てきた医師が、医学的根拠に基づいて執筆した『体力がすべて』。いまある体力を、どのように伸ばし、配分するのかを説いた本書から、一部を抜粋・編集し、体力の整え方を解説する。
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「体力」の上限は、毎日同じではない
昨日は夕方に失速したのに、今日は夜まで頭が冴えている。あるいは、同じ会議や同じタスクでも、驚くほどスムーズに進む日とまったく進まない日がある――。
多くの人が経験するこの「日ごとの波」を左右しているのは、体そのものの基本性能だけではない。その日にどれだけ力を引き出せる状態にあるかも大きく関わっている。
「体力」というと筋力や持久力を連想する人も多いだろう。だが、そうではなく、体力は3つの層にわけて考えると、解像度が上がる。
長期的な土台となる最大体力、いま引き出せる上限である実効体力、そしていまこの瞬間に残っている余力の3つである。
同じ人が同じ仕事量をこなしても、一日中集中力が持続する日もあれば、途中で失速してしまう日もある。その差は、この3つのバランスの崩れとして捉えると理解しやすい。
つまり、最大体力という器がどれほど大きくても、毎日同じように力(実効体力)を発揮できるわけではない。
最大体力と実効体力の関係は、スマートフォンにたとえるとわかりやすい。
・実効体力:その時点で実際に使える状態(充電状況と端末のコンディション)
どれほど高性能な機種でも、更新や再起動をしばらくしていなかったり、冷却が追いつかなかったり、充電が不安定だったり、重いアプリが裏で動いていたりすると、動作は重くなり、その時点で出せる性能は下がる。
人間も同じで、どれほど器が大きくても、実効体力が低い日は、そのときに出せる力が小さくなり、普段どおりの出力を発揮しにくい。
ここで押さえておきたいのは、実効体力には「その日のベース」と「日中の変動」の2つの側面があるという点だ。その日のベースは主に睡眠で決まり、日中は運動・栄養・水分・心理的ストレスなどによって上下する。
意志の力で一時的に押し上げることはできるが、それは長く続かず、その日の後半や翌日に反動が出やすい。
最大体力が、負荷・回復・食事の積み重ねによって広がっていく長期的な器だとすれば、実効体力は「いま、どれだけ動けるか」を決める短期的なメカニズムである。
実効体力は、「5つのコンディション」によって大きく左右される。
器を大きくするだけでなく、その器から力を引き出す仕組みを整えること。それこそが、日々のパフォーマンスを安定させる鍵になる。
実効体力は5つのコンディションで決まる
実効体力を左右する要因は多岐にわたるが、日々の状態に強く影響するものは、次の5つのコンディションに整理できる。これらは互いに影響し合い、いま引き出せる力を高めたり下げたりする。
・睡眠:量・質・リズムが、翌日の実効体力の上限に強く影響する
・運動:適度な運動は、その日の覚醒や集中を高める
・栄養:食事の量・構成・タイミングが、日中の出力の立ち上がりと維持に影響する
・水分:軽度の脱水でも、だるさや注意力の低下につながる
・心理的ストレス:ストレスが強いと注意が散漫になりやすく、判断もぶれやすい。重要な判断や集中力を要する作業に影響を与える
この5つを意識して整えていくことで、「体力がある」と感じられる日が増えてくるだろう。
(本稿は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から一部抜粋・編集したものです。)






