食事や睡眠に気を付けていれば、体力は自然と改善する――そう思っている人もいるかもしれない。しかし、いくら生活習慣を整えても「体力がない」という実感が消えないことがある。それは、私たちが「体力」という言葉を曖昧なまま使い、具体的な指標を持たずに対処しようとしているからだ。米国内科専門医・米国肥満医学専門医の有好信博氏は、体力を分解して捉えることが、対処の第一歩になると説く。本記事では、体力の捉え方について紹介する。(構成/ライター小川晶子)
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「体力がない」のをどうにかしたいけれど
もともとさほど体力があるほうではない。それが40代後半になると、如実に「体力のなさ」を痛感する。午前中に頑張るだけで、もう午後は頭が回らない。座っているのが辛くて寝ころびたくなる。
同年代のライター仲間がSNSで「夜中まで仕事をした」「朝まで仕事をした」などつぶやいているのを見て驚愕している。
私も、もっと体力があれば……。
仕事を今よりたくさんこなすことができて、休日には「ゆっくり休みたい」とゴロゴロするのではなく、山を登ったりキャンプに出かけたりと充実した日々を過ごせるのに。
そう思うものの、具体的にどうすれば良いのかはイマイチわからなかった。もちろん、食事・睡眠・運動が大事なことは知っている。できる範囲で栄養に気を付け、早寝早起きを心がけ、運動もちょこちょことやるようにはしている。
でも、これで合っているのだろうか? 効果は出ているのだろうか?
そもそも「体力」とは?
私と同じように、食事・睡眠・運動に気を付けてはいるものの、体力を向上できている自信はないという人は多いのではないだろうか。
それもそのはず、私たちは「体力」という言葉を曖昧に使っており、具体的な指標がないからだ。
「体力がある人は、ちょっと無理しても疲れにくい」といったイメージは持っているが、それはどういうことなのだろうか。曖昧なまま、体力を向上させたいと思ってもどうすればいいのかわからないのは当然なのである。
医学的なエビデンスに基づき、体力をアップさせるための考え方と実践方法を紹介している本『体力がすべて』では、「体力」をわかりやすく分解して示している。
まず、体力とは、身体的な基礎に加えて、脳の働きやストレスへの耐性までを含めた「仕事のための総合力」として捉える。その構造は次の3つが鍵だという。
2つ目は、その日の体調やコンディションによって上限が変わる実効体力。
そして3つ目が、活動を通じて削られながら、最終的にどれだけ残っているかを示す余力である。
――『体力がすべて』p.31
これら3つの力のバランスで、現在の体力が決まっていると考えると非常にすっきりする。
もちろん、最大体力はできるだけ大きいに越したことはない。最大体力は、心肺機能や筋力、神経の働き、ストレス耐性といった要素が積み重なって形成される、「使える力の上限であり、体力を構成する土台」だ。
ただ、たとえ最大体力が大きくても、その日の体調やコンディションによって引き出せる体力の上限が低いこともあるし、仕事のストレスで削られていれば余力がないこともある。
逆に、現状の最大体力は小さくても、他の要素をコントロールすることで「体力がある人」と同等の力を発揮することもできる。
本書では、これら3つの力の関係をわかりやすくこう示している。
余力=実効体力-その日の負荷
――『体力がすべて』p.34
曖昧だった「体力」というものが明確になっただけで、かなり対処しやすくなるのではないだろうか。
全力を出し切ればいいってもんじゃない
体力を「仕事のための総合力」として捉えたとき、もう一つ重要な考え方は「常に安定したパフォーマンス」を出せることである。
本書の著者であり、米国内科専門医・米国肥満医学専門医の有好信博氏は自身の経験からこう述べている。
もてる能力をすべて使い切ることが、必ずしも正解とは限らない。
常に余力を残した状態で、安定した成果を出し続けられるほうが、自分自身にとっても組織にとっても望ましい。
――『体力がすべて』p.23
そうなのだ。私たちはとかく「全力を出し切ることが良い」と考えてしまうが、実際に全力を出し切った場合、回復に時間がかかるのが普通である。
昨日は100%頑張れたが、今日は20%の力しか出ない……なんていうことになってしまう。そんな自分に「私は何故20%しか出せないんだ!体力がないからいけないんだ!」と怒るよりも、常に安定したパフォーマンスを出せるよう調整することに意識を向けたほうが良い。
もし昨日は100%でやらざるをえなかったのなら、今日20%しか出ないのは仕方がないと受け入れることも大事なのである。
これも、私にとっては目からウロコだった。
体力の構造を理解し、常に安定したパフォーマンスを出せることを目標にすることで、何をすればいいかが見えてくる。
「体力がない」のをどうにかしたい人は、ぜひ本書を参考にしてほしい。
(本記事は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』に関する特別投稿です)






