改善点をしっかり伝えたつもりでも、部下がその後やる気を失ってしまう――そんな経験はないだろうか。指摘の内容そのものよりも、伝える「順番」に解決のヒントがあるという。

指摘は「ネガティブ・ファースト」が基本
部下に改善を求める場面では、まず端的に、厳しい事実や改善点を伝えることが基本になる。
あいまいな言い方で本質をぼかしてしまうと、
本当に伝えたい改善点が部下に届かず、結果的に同じ問題が繰り返されてしまう。
重要なのは、厳しい指摘で終わらせるのではなく、
最後には必ずポジティブな言葉で締めくくるという順番だ。
人間の印象は「最後」に受け取った言葉で決まると言われている。
どれだけ厳しい内容を伝えられても、最後がポジティブであれば、
部下は「次は頑張ろう」という前向きな気持ちで指摘を受け止めやすくなる。
厳しい指摘とポジティブな締めくくりの具体例
最初に端的に、厳しい事実(改善点)を伝えます。そして、最後は必ずポジティブな言葉で締めくくるのです。
人間の印象は「最後」で決まるといわれます。どんなに厳しいことを言われても、最後がポジティブであれば、部下は「よし、次は頑張ろう」という前向きな気持ちで指摘を受け入れることができるのです。
①厳しい指摘
「今回のプレゼン資料だけど、正直に言って改善が必要だ。クライアントが使う専門用語を使っていないし、Q&Aの時間も考慮されていない。これでは途中で相手が興味を失ってしまう。今のままでは通用しないよ」
②ポジティブな締めくくり
「……ただ、Aさんがこの難易度の高い案件に自ら手を挙げた、その姿勢は本当にすばらしいと思っている。失敗を恐れずにチャレンジする姿勢こそが、成長には一番大事だからね。指摘した2点さえ修正すれば、君の熱意は必ず伝わるはずだ。期待しているよ、頑張って」
前半で厳しい現実を突きつけられても、最後に「姿勢」を認められ、「期待」を伝えられることで、部下は「自分は否定されていない(行動を修正すればいいだけだ)」と安心できます。
この実践例では、まず資料の具体的な問題点を、率直かつ明確に伝えている。
専門用語が使われていないこと、Q&Aの時間が考慮されていないことなど、
改善すべき点を具体的に示すことで、部下は何を直せばいいのかを正確に理解できる。
そのうえで、最後には、難易度の高い案件に自ら手を挙げた姿勢そのものを認め、
「指摘した点を修正すれば、熱意は必ず伝わる」という期待の言葉で締めくくっている。
この順番があることで、部下は「自分自身が否定されたわけではなく、行動を修正すればいいだけだ」と理解し、安心感を持つことができる。
「何を伝えるか」だけでなく「どの順番で伝えるか」を意識する
指摘の内容自体がどれだけ的確であっても、
伝える順番を誤ると、部下はただ否定された感覚だけを抱えて終わってしまうことがある。
ネガティブな内容を先に、そしてポジティブな言葉を最後に置くという構成を意識するだけで、
同じ指摘であっても、部下の受け止め方は大きく変わってくる。
特に、努力や姿勢そのものを認める言葉と、今後への期待を伝える言葉は、
最後に置くことで、部下の中に長く残りやすくなる。
厳しい指摘をする必要がある場面ほど、この「順番」を意識して会話を設計することが、
部下のモチベーションを保ちながら改善を促すための、実践的な工夫になる。
次に部下へ厳しい指摘をするとき、改善点を伝えたあとに、必ず姿勢や期待への言葉で締めくくることだけでいい。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)














