実際に、医師不足の深刻さは地域ごとに大きく異なる。患者1000人当たりの医師数に対する医師の不足率は、東京都の4.0%に対して、青森県は78.6%に達する(右図参照)。

「この制度は、一時的で持続性がない。特定エリアの医師を増やしても、他のエリアから引き抜かれるだけ。診療報酬による全体の底上げこそ必要だ」(ある病院院長)と、医療関係者には厳しい見方をする者が少なくない。

 再生プランが終了となる五年後に、事業の大幅な停止を決めている県もすでにある。

審査は1回のみ 事後検証は破綻

 12月の中旬以降、有識者による協議会で各都道府県が提出した再生プランが審査される。明示されていなかった各事業予算の内訳金額と積算根拠についても厚労省医政局指導課は「全県から取る」と11月13日に明言した。

 だが、事前に全プランを委員に渡すとはいえ、協議会の開催は、わずか1回のみ。これでは、まともな審査ではなく、単なる“追認”にほかならない。

 行政刷新会議の評価委員(仕分け人)を務める長隆氏(東日本税理士法人・公認会計士)が指摘する。「この基金は、このままでは単なるバラマキになってしまう。交付後に効果のないものは、停止や返還をすべき」。

 対する厚労省は、各県の数値目標を基に「事後検証の実施」を力説する。再生プランには、たとえば救急なら圏外搬送率を「30%」から「10%」に減らすと明記する決まりだ。

 しかし、数値目標を記していない県がいくつもあるのだ。事後検証の仕組みは、ハナから破綻している。この“火種”を取り除かない限り、再生基金の交付は停止すべきだろう。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 内村 敬)

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