写真はイメージです(「本職」自衛官の訓練)。実際の予備自衛官の訓練とは異なります Photo:Tomohiro Ohsumi/Gettyimages
平時は会社員、有事は自衛官。実は日本では「二足のわらじ」を履くことが可能だ。本業が他にある自衛官は「予備自衛官」と呼ばれ、定期的に訓練を受ける。そして災害時などのいざという時に招集され、自衛隊の活動を支えるのだ。では、どうすれば予備自衛官になれるのか。“片手間”で自衛隊の任務に貢献できるのか。知られざるリアルな実態を、防衛省出身者が解説する。(安全保障ジャーナリスト、セキュリティーコンサルタント 吉永ケンジ)
なぜ「本職」だけでは足りないのか?
自衛隊が頼る“もう一つの戦力”
日本の自衛官は約22万人(2025年時点)。国防に加え、災害派遣やサイバー防衛など多様な任務を担っていることを踏まえると、その人数は決して多いとは言えない。
一方で、他国からの侵攻や大災害などが起きていない“平時”に大量の人員を抱えておくのは、財政的にも組織的にも効率が悪い。
そこで自衛隊が取り入れているのが「予備自衛官」という制度だ。普段は会社員や学生として生活している有志を、いざという時に招集し、自衛隊の活動を支えてもらう仕組みである。元自衛官として知られるお笑いタレントのやす子さんも、実は完全に自衛隊を離れたわけではなく、予備自衛官として任官・活動している。
似たような仕組みは、軍隊を持つ他国にも存在する。元軍人や民間で働く人材をあらかじめ登録・訓練しておき、いざという時に招集し、一気に戦力を増強するのだ。
ただし、その規模や性格は、国によって大きく異なる(下表参照)。例えば韓国では、そもそも徴兵制を採用しているほか、兵役を終えた男性を8年間にわたって「予備軍」に編入するシステムが整備されている。予備軍の人数は300万人程度と、自衛隊を大きく上回る。
ここで日本特有の事情が浮かび上がる。政府は国民に対して、予備自衛官になることを強制できないのだ。
政府は一貫して、徴兵制を「本人の意思に反して兵役の義務を強制的に負わせるもの」と位置づけ、憲法第18条が禁じる「意に反する苦役」などに当たるとの立場を取ってきた。そのため、有事に人手が足りなくなっても、国民を強制的に招集することはできない。
そこで「予備自衛官になりたい」という志願者を募っているわけだが、実際の活動内容はどのようなものか。手当は支給されるのか。会社員と自衛官の「二足のわらじ」を履く人々は、現場で役に立つのか――。知られざる予備自衛官のリアルを解説していこう。








