「雨の日も傘を差してはいけない」自衛隊の鬼ルールはなぜ?→「そりゃそうだ」と思える納得の理由Photo:Koichi Kamoshida/Gettyimages

雨の日も傘を差してはいけない」「ヒゲを伸ばしてはいけない」。自衛隊には、一般市民にとっては厳しすぎる“鬼ルール”が存在する。中でも、陸上自衛隊が最近になって強化した服装規定は、現役自衛官すら「正直疑問に思いますね」と戸惑うレベルの厳しさだ。その実態を、防衛省OBが詳しく解説する。(安全保障ジャーナリスト、セキュリティーコンサルタント 吉永ケンジ)

※本記事は【前後編の前編】です。「口笛を吹いてはいけない」といった海上自衛隊のルールや、航空自衛隊のタブーについて解説した後編は以下のリンクからお読みいただけます。
海上自衛隊の謎ルール「口笛を吹いてはいけない」はなぜ?→防衛省OBの解説が「なるほど」だった!

自衛官が雨の日に
傘をさしてはいけないワケ

 どんな組織にもルールやタブーが存在する。だが、自衛隊のそれは一般市民にあまり知られていない。中身を見てみると、長年の伝統と化し、現役の自衛官すら理由を知らずに遵守しているものもある。

 一般の方には意外な自衛隊のルールの代表例は「雨の日でも傘をさしてはいけない」ではないだろうか。武器を携行・操作するために、常に両手を空けておくことに由来する。

 この決まりは陸海空自衛隊に共通し、自衛官は雨の日に「雨衣(あまい)」というレインコートを着用する。雨衣には制服用、戦闘服用など種類があり、制帽にはビニール製の覆いをかけて雨水を防ぐ。

 もっとも、このルールが適用されるのは、制服を着用している際や訓練中だけである。休日などのプライベートな時間もずぶ濡れになっているわけではない。 

 陸海空自衛隊には、こうした共通のものだけでなく、それぞれに固有の興味深いルールが存在する。前編となる本稿では、陸上自衛隊にピントを絞って「オモシロ規則」を解説していく。

 実は陸上自衛隊では最近、自衛官が半世紀以上にわたって親しんできた“ある服装”が事実上、禁止されることになった。それは一体何なのか――。