「努力した者は努力しただけ上に上がれる」→それってほんと?明治の出世論がエグかった〈風、薫る第67回〉『風、薫る』第67回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第67回(2026年6月30日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

女が働ける時間は限られている

 第67回は、仕事について、それぞれの考え方が語られる。

 まずは、見習い看護婦・土居ヒデ(池田朱那)の場合。

「私、辞めます」「もうなりたくなくなったんです、看護婦」

 ヒデはいかにも令和の現代っ子のような口調でりん(見上愛)に言う。

 りんは慌てて、土居は優秀だしきっといい看護婦になる、となだめるがヒデの心は動かない。

「西洋には看護婦という仕事に就くものが当たり前にいて、日本でもなれると知って、看護科に入りました。人の役に立つ仕事をして、女でも生きていけると夢見て」。看護婦を目指したが、期待していたのと違ったようだ。

「看護って何ですか?」

 りんを試すような質問をするヒデ。りんの答えはこうだ。

「やっぱり、目の前にいる人、弱っている人に、手を差し伸べることだと思います」

 看護とは何かと聞かれて黙ることを正解としないのは良いとは思うが、ヒデは一枚上手だった。

「その目の前に、(間)ツヤさん(東野絢香)いましたよね」

 これはキツイ。やっぱりヒデは、りんたちはきれいごとを言いながら頑張っていたツヤを見捨てたと思ったのだ。

「そりゃ申し訳ないと思うよ」と直美(上坂樹里)が割って入る。看護とは何か「一緒に考えていくわけにはいかない?」と提案するが、ヒデはきっぱり言う。

「女が働ける時間は限られてますから。私は未来が見えないものに時間は使えません。だったら違う道を私は探そうと思います」

 令和の若者は見切りをつけるのが早い。昭和の新入社員は「石の上にも3年」だったが、いまはそんなに忍耐していられない。ちゃっちゃと転職してキャリアアップしていく人も少なくないのだ。

 いやいや、ここは明治。明治はどうか。なにぶん看護婦ははじめての職業だから修行時間がどれくらいか判断も難しいだろう。