ハラスメントへの意識が高まった今、部下への指導に悩む管理職は少なくない。しかし、指導を避け続ければ、職場の規律は少しずつ崩れていく。一方で、部下との信頼関係を保ちながら、組織を引き締めている上司もいる。その違いはどこにあるのだろうか。本稿では、そのポイントを紹介する。

「舐めた態度の部下」にすべきこと・ベスト1Photo: Adobe Stock

規律が緩んだ職場で起きること

「最近、部下に強く言えなくて……」という声を、現場のリーダーからよく耳にします。

ハラスメントへの意識が高まったことで、部下への指導をためらうリーダーが増えています。
注意しない分、部下はラクかもしれません。職場の雰囲気も穏やかに見えるかもしれません。
でもそれは、働きやすい職場ではなく、規律が緩んでいるだけなんです。

規律が緩んだ職場では、少しずつ変化が起きます。
上司の指示が軽く扱われる、自分勝手な行動が目立ち始める、協調性が失われていく
――そうした空気が広がった先に待っているのは、パワハラや退職といった深刻な問題です。

「優しさ」と「甘さ」は違う

注意しないことは優しさではありません。
それは単なる「甘さ」であり、部下の成長の機会を奪っていることになります。

「この職場では何をしても注意されない」と感じた部下は、少しずつ手を抜くようになります。
そしてその空気はチーム全体に広がっていきます。嫌われたくない気持ちはわかります。
でも、そのためらいがチームを壊していくとしたら、本末転倒です。

「伝え方」を工夫すればいい

大切なのは、注意するかどうかではなく、どう伝えるかです。

頭ごなしに叱るのではなく、「なぜそれがいけないのか」を丁寧に説明する。
感情的にならず、事実に基づいて話す。
人格を否定せず、行動について指摘する。
こうした伝え方を意識するだけで、ハラスメントとはまったく異なる、適切な指導ができます。

「最近、報告が遅れることが続いているけど、何か困っていることはある?」
――こんなふうに入るだけで、部下は責められたとは感じにくくなります。

働きやすい職場とは、緩い職場ではありません。
きちんとした規律のもとで、お互いが気持ちよく働ける職場です。
適切に注意できるリーダーこそが、本当の意味でチームを守っています。

(本稿は、『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の発売を記念したオリジナル記事です)