「自分は仕事ができないのかもしれない」。職場で評価されず、そう自信を失ってしまう人は少なくない。しかし、本当に能力の問題なのだろうか。漫画『左ききのエレン』で累計420万部を突破し、「才能」について25年以上考え続けてきた漫画家・かっぴー氏は、「人は能力だけで評価が決まるのではなく、自分のカードと環境が噛み合っているかどうかで結果が大きく変わる」と語る。では、どんな人が「今すぐ職場を変えたほうがいい人」なのか? その見極め方とは。

「今すぐ職場をやめたほうがいい人」の共通点Photo: Adobe Stock

今すぐ職場を変えたほうがいい人

「仕事は続けたほうがいい」
「石の上にも三年」
「辞め癖がつく」

そんな言葉を耳にしたことがあるだろう。「このまま今の会社にいていいのか?」と思った時に、必ず聞かされるはずだ。

少し嫌なことがあっただけで辞めるのは得策ではないだろう。どんな職場にも多少の不満は出てくるものだし、環境を変えればすべて解決するわけでもない。

しかし、一方で「今すぐ職場を変えたほうがいい人」がいるのも事実だ。

それは、能力が低い人ではない。自分の持つカードと、職場というゲームのルールがまったく噛み合っていない人である。

環境とカードには相性がある

僕はこれを、「環境とカードの相性」と考えている。

多くの人は、「自分に能力があるか、ないか」で悩む。しかし、実際には能力よりも、「どこで使うか」のほうが結果を左右することは少なくない。

たとえば、最初に見るべきなのが「評価基準」だ。
同じ仕事でも、会社によって評価されるものはまったく違う。

挑戦を歓迎する会社もあれば、ミスをしないことを評価する会社もある。
成果を出しているのに評価されないなら、それは能力ではなく、評価基準がズレている可能性がある。

次に見るべきは、「部署」である。
営業が苦手でも、企画なら才能を発揮する人がいる。
会社が合わないのではなく、その部署が合っていないだけかもしれない。

「誰と組むか」も環境の一部

三つ目は、「立場」だ。

プレイヤーとして優秀な人が、管理職になった途端に苦しむことは珍しくない。
逆に、個人では目立たなかった人が、マネージャーになって一気に力を発揮することもある。
役職が上がると、求められるカードは、大きく入れ替わるのだ。

そして最後が、「チームメンバー」である。
能力は、一緒に働く人によって驚くほど変わる。
細かい指示が得意な上司もいれば、自由に任せたほうが部下が伸びる上司もいる。

人は、一人で仕事をしているわけではない。だから、誰と組むかも環境の一部なのである。

「逃げではない転職」をするために

ここまで読んで、「自分は能力がないのかもしれない」と思っていた人は、一度立ち止まって考えてほしい。

本当に能力の問題なのだろうか。それとも、評価基準、部署、立場、チームメンバーのどれかが、自分のカードと噛み合っていないだけなのだろうか。

環境を変えることは、逃げではない。野球選手がサッカー場で活躍できないように、カードが活きるゲームを選ぶことは、極めて合理的な戦略である。

「辞めるべきか」を考える前に、「この環境は、自分のカードを活かせる環境なのか」を考えてみてほしい。

頑張り方を変えるより先に、ゲームを変えたほうがいいこともある。それは逃げではなく、自分のカードを正しく使うための戦略なのである。

(本記事は書籍『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』に関する書き下ろし原稿です)