日経平均が乱高下している。依然として物価高も止まらない。手取り収入の減少に悩んでいる人も多い。
さらに貯金か投資か、なかなか一歩を踏み出せない人もいる。何か特効薬はないだろうか?
今回はライターの米多寿樹氏が「貯金と投資の名著」を厳選。「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書」と絶賛されているベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』をもとに「FIRE」について特別配信する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
Photo: Adobe Stock
FIREってそんなに素晴らしいですか?
繁華街で盃を傾けながら、街の声を聞くともなくともなく聞いていると、そこらの酒席から「FIREしたい。仕事したくない」という声が届いてくる時期があった。
なんだったんだろうか、あれは。昨今、さすがに以前ほどの勢いはないようだが、それでも「できるものなら働きたくない」という人は少なからず世間に存在しているように見受けられる。
私は生来のワーカーホリックなので、働かずに生きるという人生は、逆にイメージがわかない。怖さすらある。
今以上に出不精で、人と交わらない暮らしになりそうだ。
社会との接点を仕事以外に持とうとしても、限界があるように感じてしまう。仕事を通じた交わりは濃い。
『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』は投資を通じて豊かな人生を獲得することを推奨し、その具体的な筋道を示している本だ。
そんな本だが、FIREという考え方については批判的で、少々意外な思いがした。しかし、その考え方は私の皮膚感覚にもなじむ。ぜひ紹介したい。
本を通じて人生を掘り下げる
――『JUST KEEP BUYING』より
そう喝破する著者。続く文章はこうだ。
どのような人づき合いを望んでいるか?
リタイア生活で一番大切なことは?
これらの問いに納得のいく答えを導けたら、幸せなリタイアができるだろう。
――『JUST KEEP BUYING』より
我が意を得たり、である。
もしFIREに憧れている人がこの文章を読んでいるなら、ここで一度、読み進めるのをやめ、上記の質問に思いをめぐらせてみてほしい。
おそらく、大半の人が明瞭な答えを思い描けないはずだ。
なんらかのストレスからの逃避として、漠然と仕事からの解放をイメージしているだけで、その具体的な帰結にまで思考が及んでいないのではないか。
もう少し引用を続けよう。
――『JUST KEEP BUYING』より
凡百の投資本と一線を画す点
「いくら経済的にうまくいったとしても、心身の健康が満たされていなければ意味がない」
……この言葉を、投資についての情報を血眼で漁っているような人に捧げたい。この世で私たちが何かをするとき、その目的はあくまで、「素晴らしい人生を送ること」なのだ。
投資にせよ、その他のことにせよ、あくまでそのための手段にすぎない。
本書が凡百の投資本と一線を画しているのは、こうした思想が本のはしばしから垣間見えるからだろう。
読み進めながら、ただ投資の知識を学ぶだけではなく、人生を掘り下げてしまう。そんなユニークな読書体験を、ぜひ味わってほしい。幻想に踊らされずに。








