同じように指導しているつもりでも、部下がぐんぐん成長するリーダーと、なかなか育たないリーダーがいる。その違いは、教え方や評価制度だけではない。日々の何気ない反応や感情の伝え方が、部下のやる気や成長を大きく左右しているのだ。話題の書『リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、部下の力を引き出すリーダーのふるまいについて解説する。

圧倒的に「使える部下」を育てる方法・ベスト1Photo: Adobe Stock

本田圭佑の解説が評判になった理由

先日のサッカーワールドカップで話題になったのが、元日本代表・本田圭佑さんの解説でした。
「ファウルだろ、それ~!」「よしっ、入った~!」「いけいけ、打て打て!」

従来の解説とは明らかに違っていました。
でも、見ている人たちの心をつかんだのは、まさにその「熱さ」でした。

ファンと同じ気持ちで、同じ温度で語りかけてくれる。だから見ている側も、一緒に試合を戦っているような気持ちになるんです。

実は、職場のリーダーにも、まったく同じことが言えます。

「本気だ」と思わせる瞬間

部下が大きな契約を決めてきたとき、一番うれしいのは契約が取れたことだけではありません。
「上司が本気で喜んでくれた」と感じる瞬間です。

「よしっ、やったな~!」と顔をほころばせながら言う上司と、淡々と「お疲れさま、よくやった」と伝える上司では、部下の受け取り方がまるで違います。
前者には、「この上司、本気で喜んでくれている」という実感が伴うからです。

逆に、惜しくも契約を逃したとき。
「いや~、悔しいな~! あと一歩だったのに」と一緒に悔しがってくれる上司がいれば、部下は「自分だけじゃない」と思えます。次への気持ちの切り替えも、ずっと早くなります。

喜怒哀楽を共にしてくれるリーダーのもとでは、部下は「この人の期待に応えたい」と感じるようになります。

苦手なら、そのときだけ「少し演じる」

「感情を表に出すのが苦手で……」というリーダーもいるでしょう。
それでも大丈夫です。そのときだけ、少しだけ演じてみてください。
大げさな芝居は必要ありません。
いつもより少しだけ声を上げる、いつもより少しだけ表情をつくる。それだけで十分です。

部下はリーダーの感情に、思っている以上に敏感です。
数字や言葉だけでなく、リーダーの「温度」を感じながら仕事をしています。
その温度が伝わったとき、部下は初めて「この上司は本気だ」と思い、自分も本気になれるのです。

(本稿は、『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の発売を記念したオリジナル記事です)