本調査では、ネット世論に関わる行動――具体的には、ニュースに関連して、(1)書き込み・投稿・拡散をする、(2)SNS・動画で見る、(3)掲示板、ブログ、ポータルなどネット界隈の話題(「ネット世間」と呼びます)を見る、(4)炎上参加・拡散・偽情報訂正など炎上に積極的に関与する、(5)炎上に関心を持ち、検索したり、目撃したりする――と、人々の属性やマスコミなどへの態度、道徳心理との関係を精査しました。
炎上への関与を左右したのは
年代や職業ではなかった
まず明らかになったのは、投稿・拡散・炎上参加といったネット世論への「積極的な関与」に対して、年代、学歴や職業といった社会経済的属性は、ほとんど影響を与えていないという点です。
20代の方が比較的活発で、50代以上になるとやや落ち着く傾向はあるものの、それ以上に大きな違いを生んでいたのは、性別、マスコミへの態度、そして道徳心理でした。
全体として、男性の方が、女性よりも、書き込みや拡散、炎上への参加といった行動に出やすい傾向が見られました。
そして、調査分析が一貫して示していたのは、道徳基盤〈内集団〉、自尊感情、非少数派政治の態度が強い人ほど、(1)書き込み・投稿・拡散に関与しやすく、(4)炎上に積極的に関わる点でした。さらに、社会的支配志向性が高いと、(4)炎上への積極的関与と、(3)ネット世間への接触が高まり、他者軽視と自尊感情は、ともに炎上への関心を強めます。
つまり、先に説明した4つの道徳心理はいずれも、ネット世論への積極的関与、関心を動機づけています。それは、自集団と他集団を識別し、内集団への忠誠や外集団との優劣に関心が強い人々の方が、ネット上の議論や対立を、意見交換ではなく、「自集団を守るための行動」、「規範逸脱者・侵犯者への制裁」、「社会的強者と弱者反転への異議」、「自らの公正さ、正しさを示すための闘い」と捉える傾向が高いことによると考えます。その結果、投稿や拡散、さらには炎上への参加といった行動に踏み出しやすくなるのです。







