Photo by Yuiki Okusa
スシローのおとり広告、すき家のネズミ混入、大阪王将の店舗でのナメクジ告発――。SNSで瞬時に悪評が拡散される現代、外食業界を突然襲う不祥事リスクは、一瞬でブランドを失墜させる破壊力を持つ。そうした現場のほころびを「外の目」で監視し、実効性のある企業統治を構築するのが社外取締役の役割だ。だが、現実には不祥事は繰り返されている。彼らは執行側とどう向き合い、現場の「壁」を突破しているのか。特集『社外取10821人の全序列【2026最新版】熱狂バブルの落とし穴』の#10で外食大手の現役社外取を直撃取材し、知られざる危機管理の舞台裏を明かす。(ダイヤモンド編集部 大日結貴)
現場のリスクを抱える外食産業
突発的な不祥事を察知する難しさ
外食や小売りといった消費者向け(BtoC)ビジネスの現場では、従業員による不適切なSNS投稿や、調理・製造過程での異物混入といった突発的な不祥事が後を絶たない。
記憶に新しいのは2025年1月、ゼンショーホールディングス(HD)が運営する「すき家」で起こったネズミ混入事件だろう。3月にSNS上で事件が発覚すると、消費者から厳しい評価を受け、既存店客数は、同月から8カ月連続で前年割れした。同年8月には、同じくゼンショーHDの「はま寿司」で、アイスクリームの容器に洗剤が付着した状態で提供され、口にした3歳女児が体調を崩して入院する事態も発生した。
回転ずしチェーン「スシロー」を運営するFOOD & LIFE COMPANIESでは、22年6月にキャンペーン商品だった「ウニ」などが店頭にないとSNSで話題となったことをきっかけに、在庫を十分に用意せず広告を出し続けたとして、消費者庁から景品表示法違反(おとり広告)の措置命令を受けた。同年7月にも生ビール半額キャンペーンで類似のトラブルが起き、国内スシロー事業の既存店客数は前年同月比で80%台にまで落ち込む月が続いた。
22年には「大阪王将」のフランチャイズ店舗における不衛生な環境がSNSで告発された。保健所の調査報告書には衛生面に関する多くの指摘が並んだが、その中には「動物の飼育は行わないこと」という注意が記されていた。
運営側も、店舗の屋外で猫を飼育していたことを認めた。本来、飲食店において許されない重大な予兆を本部が見逃していたことは、外食企業における現場管理の難しさを如実に物語っている。
顧客や従業員によるSNS拡散を発端としたトラブルは、BtoC企業の社会的信用を一瞬で失墜させ、短期間で株価や客足に深刻なダメージを与える。
「外の目」として会社をモニタリングしている社外取締役には、こういった事案を防ぐ役割もある。彼らは現場のモラルハザードやオペレーションのほころびを未然に防ぐことができるのか。
ダイヤモンド編集部は、FOOD & LIFE COMPANIESやゼンショーHDの現役社外取に取材し、その業務実態と限界に迫った。次ページで明らかにする。







