随園別館の入口(筆者提供)
日本で長く親しまれてきた中華料理は、日本人の味覚に合わせて独自の進化を遂げてきた。一方、近年、池袋をはじめ上野や高田馬場などで存在感を増しているのが、本場の味をそのまま楽しむ「ガチ中華」だ。1986年、大学生だった筆者が新宿の老舗「随園別館」で本格的な中華料理に出合ってから約40年。日本の「王道中華」を知る筆者が、ガチ中華ブームの背景と、中国発の飲食チェーンが相次いで日本に進出するまでの変化を振り返る。※本稿は、フリージャーナリストの中島 恵『中国の回鍋肉にキャベツは使わない 中華料理から見つめる日本と中国』(ウェッジ)の一部を抜粋・編集したものです。
バブル時代に大学生だった筆者は
新宿の老舗で本格中華に出合った
私が本格的な中華料理に出合ったり、中華料理について何か考えたりするようになったのは大学入学後の1986年のこと。
当時、日本はバブル景気に浮かれ始めていたが、山梨県から中央本線に乗って東京の八王子にある大学に通学していた地味な私にはそんなことは無縁で、周囲にもバブリーな感じの人はいなかった。
友人たちとのコンパや食事は主に八王子周辺だったが、語劇祭(中国語、スペイン語、英語などの言語で演劇をするイベントで、都内の外国語学部がある複数の大学が出場するコンテスト)のときや、特別な行事があるときには、中央線に乗って新宿まで出かけた。
食事場所は新宿三丁目と新宿御苑の間にある中華料理店「随園別館」だ。現在でも新宿で人気の中華料理店なので、都内に住んでいる人の中には「知っている」という人も多いだろう。
店の創業は1963年。中国・山東省出身の店主が、国共内戦(1946年6月~1949年12月まで続いた中国共産党と中国国民党の内戦)のあと台湾に行き、その後、来日して店を開いたという。







