少数の強い意見が
「ネット世論」を形づくる
この分析からも明らかですが、ネット世論とは、「多くの人の意見が等しく集まったもの」ではありません。相対的には少数の人々が、より強く、より頻繁に関与することで形づくられている現象です。声を上げない人、関与しない人の存在は、ネット上には表れません。
『スマホは心を操る』(木村忠正、朝日新聞出版)
ネット世論に積極的に関与させる動因は、経済的利害や承認欲求、自己顕示、ストレスなど多様ですが、筆者の研究は、道徳心理が大きな役割を果たしていることを明らかにしています。アクセス数稼ぎの場合も、それが道徳心理に訴え、「バズる」ことを予測して投稿を工夫します。その結果、ネット世論は、実際の社会以上に、対立的で、感情的で、極端に見えやすくなるのです。
そして、ハイプ・マシンは、こうした人々の行動――何に反応し、何を拡散し、どんな対立に加わるのか――をもとに、「人はこういう刺激に反応する」「こういう対立が盛り上がる」と学習し、深層学習のネットワークに組み込んでいきます。
その結果、ネット世論の偏りは、私たちヒトの問題にとどまらず、アルゴリズムとAIによって強化され、再生産され、加速される構造を持つことになります。







