──そこまでの体制をどうやってつくり上げたのですか?

宮沢 まず、技術面は私が業界他社で武者修行をして、多様な工事の技術を身に付けました。また、大手建設会社との商談に付いていけるよう、1級建築士や1級建築施工管理技士などの資格を取得しました。20代後半は、朝5時に起きて現場で仕事をした後、夜7時から4~5時間勉強しました。今は絶対できませんね。

 そして未経験の若手を採用し、私が学んだことを伝えて、職人に育て上げました。若い人に敬遠される仕事なので、魅力がないと入ってきてもらえませんし、すぐに辞めてしまいます。そこで、私は待遇などを改善していきました。

地方の防水工事会社が正社員職人を60人育て大手企業から引く手あまた。年商は30倍に毎年のように若い社員が入社し、防水工事の多能工に育っている

 一つは給料面です。基本月給を24万~25万円スタートと業界標準より高めにした上、アスファルト防水工事などハードな仕事や出張に手当を付け、20歳で手取り月給39万円を実現可能にしました。

 教育面も「3年はこの仕事をさせない」「見て覚える」といった旧態依然としたやり方をなくしました。入社1年目からすべての防水工事を経験してもらいます。目的は多能工を育てるためだけでなく、自分に合う仕事を見つけてもらうためです。多能工でなく一つの仕事を突き詰めたいなら、それもOK。自分がやりたい方向でやるのが一番成長するからです。

 また先輩職人には、後輩に頭ごなしに言わず、丁寧に教えることを心がけてもらっています。職人は1チーム4人で現場を担当するのですが、人間的に馬が合わない人がいれば申し出てもらい、組み合わせを変えるようにしています。

──そこまで気を使うのですね。

宮沢 そうしないと辞めてしまい、技術力の高い職人が育ちませんからね。弊社は職人の半分が外国人なので、文化の違いにも気を使っています。そうした努力のかいもあり、離職するのは年間1人いるかいないかにとどまっています。

──急成長を実現するには資金調達も重要だと思います。

宮沢 メガバンクや地銀に加えて、三つの信用金庫と取引があります。信金は地域密着なので資金以外の相談にも乗ってもらいやすいですね。また、高崎信用金庫さんの「たかしん新世紀クラブ」に入っているのですが、大手飲食チェーンの創業者やAIの専門家などのセミナーがあり、非常に勉強になっています。

──今後の抱負をお聞かせください。

宮沢 「年齢性別国籍問わず挑戦ができる、建設の明るい未来へ貢献します」という企業理念の通り、この防水工事の世界を明るくしたいと考えています。そのためには業界一の会社に成長する必要がある。2030年に年商40億円という目標は達成できそうなので、次は40年に年商100億円を目指します。

(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2026年8月号掲載、協力/高崎信用金庫

事業内容:建設業、防水・塗装工事業
従業員数:90人
売上高:30億円(2026年6月期)
所在地:群馬県佐波郡玉村町樋越799‐7
電話:0270‐65‐3078
URL:ken-sui.jp