「ダイエット中なのに甘いものをドカ食いしてしまう」――その原因は、意志の弱さではなく、脳の仕組みにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と実践法を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、衝動を無理に抑えつけるのではなく、受け入れながらやり過ごす「RAIN」の4ステップも書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

【医師が解説】「衝動をコントロールできない人」がやりがちなNG行動・ワースト1Photo: Adobe Stock

悪い習慣を断ち切るには?

――「ダイエット中なのに甘いものをドカ食いしてしまう」「タバコをやめたいのに吸ってしまう」。こうした悪い習慣を断ち切るには、強い意志や気合いが必要だと思われがちです。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):たしかに多くの人が「気合い」で我慢しようとしますよね。しかし、脳科学的に見ると、衝動を無理やり理性(前頭葉)で抑えつけようとするのは逆効果になることが多いのです。

脳に過度なストレスがかかると、本能や感情を司る「扁桃体」が暴走をはじめ、理性が追いつかなくなってしまいます。脳全体を乗っ取ってしまうので「扁桃体ハイジャック」などとも呼ばれます。

衝動に対処する4ステップ

――頭ではわかっているのに、つい衝動に負けてしまうのは、脳がハイジャックされている状態なのですね。では、どうすれば衝動をコントロールできるのでしょうか。

久賀谷:無理に抑えつけるのではなく、衝動をありのままに受け入れながら、フラットに対処していくことが重要です。そのためのマインドフルネスの手法として「RAIN(レイン)」というものがあります。

これは4つのステップの頭文字です。

まず、自分の中に「食べたい」「吸いたい」という衝動が起きていることを「認識(Recognize)」します。

次に、その衝動が起きている事実を否定せず、そのまま「受け入れ(Accept)」ます。

――「食べたい」と思っている自分を許すのですね。

久賀谷:そうです。

そして3つ目が「検証(Investigate)」です。衝動が起きたとき、身体のどこが緊張しているか、心拍数はどう変化しているかなど、自分の身体の変化を客観的に観察します。呼吸に意識を向けるのもいいでしょう。

最後に、その衝動と自分を同一視せず、「衝動がおさまるといいなあ」と他人事のように「距離をとる(Non-Identification)」のです。

――波のように押し寄せる衝動を、ただ眺めてやり過ごすようなイメージでしょうか。

久賀谷:まさにその通りです。

実際に、マインドフルネスを取り入れた禁煙プログラムでは、通常の禁煙治療の2倍も成功率が上がったという研究結果も報告されています。

ダイエットにしても禁煙にしても、「ダメだ」と自分を責めるのではなく、RAINの4ステップで自分の内面を客観視する練習をしてみてください。衝動に振り回されない、穏やかな脳の使い方が身につくはずです。