飲食店で店員を指さす男性客写真はイメージです Photo:PIXTA

「こちらにミスがあったのだから、怒鳴られても仕方ない」――そう思って、客からの暴言や無理な要求を一人で抱え込んでいないだろうか。正当なクレームと、従業員が耐える必要のない「カスハラ」は別物だ。自分のミスが原因でも、土下座や罵倒まで受け入れる必要はない。2026年10月から企業のカスハラ対策が義務化される今、どこからがカスハラなのか、働く人を守るルールを弁護士が具体例で解説する。※本稿は、弁護士の佐々木 亮『職場のトラブル即解決!あなたを守る労働法』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。

カスハラ対策は従業員任せでは
許されない時代になった

 ここ数年、大きな話題になっているのがカスタマーハラスメント(以下カスハラ)です。

 カスハラとは顧客や取引先から、理不尽な要求や暴言、時には暴力といった迷惑行為を受けるハラスメントです。

 カスハラには店舗や施設などで対面で行われるものだけでなく、電話やSNSなどインターネット上で行われるものも含まれます。

 厚生労働省ではカスハラの定義を「社会通念上許容される範囲を超えた言動により、労働者の就業環境が害されるもの」としています。

 ここで言う「社会通念上許容される範囲を超えた言動」とは、殴る、蹴る、叩く、物を投げるなどの暴行、大声を上げて威圧する、土下座を要求する、長時間、居座ってクレームを言い続けるといった行動に精神的な脅迫も含まれます。

 たとえば悪評をSNSに投稿すると言って脅す、プライバシーを暴露するといって脅す、謝罪動画を公開する、電話での長時間に及ぶクレーム、執拗にクレームのメールを送り続けるなどです。

 このようなカスハラに対し、対応を従業員に任せっきりにしているという企業は少なからずあるでしょう。