
「自分はマウントなんて取らない」誰もがそう思っているだろう。しかしマウント欲求なるものは誰の心の奥底にも潜んでいる。私たちは思いのほか小さなきっかけで、その欲求に突き動かされてしまう。自虐風の自慢や、ふと出てしまう上から目線の一言。そんな無意識の衝動を紐解き、欲求を心の内で静かに鎮めるコツを探る。※本稿は、片田珠美『マウントを取らずにはいられない人』(PHP新書、PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
不毛なマウント合戦の
当事者に墜ちてしまう前に
あなた自身もマウントを取りたくなるときがあるかもしれない。
とくに、目の前の相手が延々と自慢話をしたり、あなたをおとしめるような言葉をねちねちと吐いたりすると、平静ではいられなくなり、言い返して「自分のほうが“上”」であることを思い知らせたい衝動に駆られるのではないか。そんなとき、どうすればいいのだろうか。
まず、マウントにはどんなデメリットがあるのか、よく考えよう。真っ先に挙げておきたいのは、敵意や反感を買うことである。マウントを取られたとき、あなたがどんな気持ちになったか、思い出してみるといい。「なぜこんなしょうもないことで偉そうにされるのか」と憤慨し、はらわたが煮えくり返ることもあったのではないか。
とくに、価値否定型のマウントを取られると、侮辱されたように感じて、敵意や反感だけでなく、怒りや憎しみも覚えたはずだ。もしかしたら、「いつかやり返してやる」と復讐心も燃え立ったかもしれない。
マウントを取られたときにあなたの胸中に芽生えたのと同じ感情を、向こうも抱くであろうことに想像力を働かせるべきである。