「仕事に追われていると、些細なことにもイライラしてしまう」――その原因は、性格でも忙しさでもなく、目標だけを見つめる脳の状態にあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、怒りと距離を取るための「RAIN」という手法も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

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「課題志向」になりすぎると心にゆとりがなくなる

――仕事ができる優秀なビジネスパーソンの中には、ちょっとしたことでイライラしたり、部下に怒りをぶつけたりする人もいるようです。忙しいのが原因なのでしょうか?

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):怒りはゆとりのなさから生まれますからね。とくに、真面目で目的意識の強い人ほど、注意が必要です。何かを成し遂げることに捉われている状態を「タスク・オリエンティッド(課題志向)」といいます。山に登っているとき、頂上のことばかりを見ていて、足元に咲いている草花を忘れてしまっているような状態ですね。

――目標達成への意識が強すぎると、怒りっぽくなってしまうというのはわかる気がします。

タスクに追われると人にやさしくできない

久賀谷:牧師になろうとしている学生たちを対象にした、非常に興味深い実験があります。学生を2つのグループに分け、一方には「◯◯時までに次の教室に行きなさい」と時間を指定し、もう一方には教室は教えるけれど時間を指定しませんでした。そして教室の移動中に困っている人に遭遇させたところ、時間を指定されたグループのほうが手助けをしなかったのです。

――なるほど……。牧師を目指すような人たちでも、時間に追われると人にやさしくできなくなるのですね。

久賀谷:そうなのです。タスクをはっきり意識してゆとりをなくすと、自分がなろうとしている職業の本質すら途端に忘れてしまうのです。怒りやイライラを手放すためには、ゴールばかりを見るのではなく、「いまここ」の1歩1歩にフォーカスするマインドフルネスが非常に重要になります。

――『世界のエリートがやっている最高の休息法[完全版]』には、怒りに対処するためのマインドフルネスの手法が紹介されていましたね。

久賀谷:はい。RAINという手法です。簡単に言うと、自分が怒りを感じているという事実をあるがままに受け入れて、自分の身体に起きている変化に注意を向けるというやり方です。怒りと自分を同一視せず、距離を取るのが重要です。

――私もイライラしたときに試してみたいと思います。