「効率化のツールは増えたのに、なぜか年々忙しくなっている」――その原因は、脳が「何かをしていないと落ち着かない」状態に慣れてしまったことにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、世界的企業やトップエリートがマインドフルネスに飛びついた理由も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

【精神科医が解説】人生に疲れ切った人がやるべき習慣・ベスト1Photo: Adobe Stock

Doingモードに囚われた現代人

――グーグルやアップルといった世界的企業や、第一線で活躍するトップエリートたちがマインドフルネスを実践しているという話を聞きます。それはなぜなのでしょうか。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):マインドフルネスがアメリカで一大ブームになった背景には、アメリカ人が常に競争にさらされ、成功のプレッシャーを感じていることがあると思います。つねに「何をすべきか」というDoingのモードに囚われ、複数のタスクを同時にこなし、効率よく結果を出し続けようとする。しかし、アクセルを踏み続けるだけでは、いずれ脳が疲弊し限界が来ます。これは現代人には多かれ少なかれ共通していますね。

――たしかに、いつも何かに追われているような感覚があります。テクノロジーの進化やAIの発展で、ラクになるかと思いきやむしろ忙しくなっているような感じで……。

久賀谷:ええ。どれだけ便利な技術が生まれて効率が高まっても、それだけでは私たちの脳は「休める」ようにはできていません。私たちはちょっと時間が空くとすぐにスマホを見て情報をインプットしてしまう。何かを成し遂げて結果を出し、そこから快感を得るという「達成依存」に陥っているとも言えます。

大事な習慣=「評価」や「判断」を加えない

――「休む」ことや「空白の時間」に罪悪感を覚えてしまう人は多いかもしれません。

久賀谷:そこで再発見されたのが、東洋に起源を持つマインドフルネスでした。

「評価や判断を加えずに、いまここの経験に対して能動的に注意を向ける」というマインドフルネスの思想は、Beingの文化です。

「何をすべきか」ではなく、「どのようにあるのか」が重視されます。休息の方法を知らなかったアメリカ人たちは、「これぞ自分たちの求めていたものだ!」と言わんばかりに飛びついたのです。

――効率的に成功を求められる人たちが、まったく違う価値観に惹かれたところからマインドフルネスがブームになったのですね。

久賀谷:はい。彼らは本当に役立つものにしか手を出しませんから、マインドフルネスが最高の休息法であることは自信を持っていいでしょう。

実際、マインドフルネスは東洋式瞑想の焼き直しに留まらず、科学的に裏付けされたものに進化しています。最先端の脳科学や精神医学が大真面目に研究する科学的休息法になっているのです。ただ、これは知識としてインプットするというより、その世界に飛び込んで実践する中で体得される「知恵」です。

ぜひ本書、『最高の休息法[完全版]』を参考に実践してほしいと思っています。