「気分の落ち込みが長く続き、自分ではどうにもできない」――その原因は、考え方のクセに自分が飲み込まれていることにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、薬物治療と同等の効果が報告されている「マインドフルネス認知療法」のエッセンスも書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

精神科医が教える「不安がスッっと消える方法」ベスト1Photo: Adobe Stock

薬と同じ効果? ある画期的な研究

――マインドフルネスは、うつ病の治療などにも効果があるのでしょうか。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):はい。オックスフォード大学の研究チームが、長年薬物治療を受けてきた重度のうつ病患者を対象に、興味深い調査を行っています。

患者を2つのグループに分け、一方はそれまでと同じ薬物治療を継続し、もう一方は薬をやめて、週2時間の「マインドフルネス認知療法」に切り替えたのです。

そして、8週間に及ぶ治療のあと、2年間にわたる追跡調査を行い、どちらのグループがうつ病の再発率が高いか調べました。普通に考えれば、薬をやめたグループのほうが再発しやすいはずです。

しかし結果は、両グループのうつ病の再発率には差がありませんでした。つまり、マインドフルネスによるカウンセリングが、薬物治療と同等の効果を発揮したということです。

「マインドフルネス認知療法」は、従来の認知行動療法をさらに発展させたもので、「第3世代の認知行動療法」のひとつとして広がりつつあります。

「考え」と「自分」を切り離す

――マインドフルネス認知療法のエッセンスを、私たちが取り入れる方法はあるのでしょうか?

久賀谷:マインドフルネス認知療法は、瞑想などを取り入れながら、自分の認知を客観視することから始めます。

自分の考え方のクセに気づき、それを修正していくというのがこの療法の核心です。

本書で紹介しているのは、ストレスの原因を1つの文にし、それを思い浮かべながら距離を取るというやり方です。たとえば「仕事の量が多くて焦っている」という文を作り、それを受け入れたうえで、自分と切り離して眺めるようにするのです。

――他人事のように見るということですか?

久賀谷:そうです。

心を「駅のプラットホーム」だとイメージしてみてください。

浮かんでくる考えは、そこを通り過ぎていく電車の乗客のようなもので、自分自身はその様子を見送るホームに立っているだけなんです。

ネガティブな考えが浮かんできても、「あ、またこの電車が来たな」と客観的に眺め、無理に乗り込んだり、振り払おうとしたりしない。傍観者のままでいることが大切です。すると、落ち着いて対処することができるようになります。