「私が採用した中国人2人の仲が悪くて困る」

 日本企業に働く日本人の、困惑した話をよく聞く。

 これは日本でのことである。日本人と違って、中国人には異国で同じ国の出身者同士が助け合って生きていこうという精神は少ないようだ。

 日本人なら、お互いわからないことを教えながらチームワークをうまく築こうとする。教えることで損をするという考え方はなく、いずれ自分のほうからも何かお願いするかもしれないという貸し借りの意識を持っている。

 ところが、中国人の場合、そんな気持ちは毛頭ないようだ。プライベートでも、中国人の知り合いを中国人に紹介しようとしたところ、頑なに拒否されたこともある。

 「海外では日本人は日本人とばかり集まっている」という声をよく聞く。 「日本人クラブ」だけでなく、都道府県ごとに「●●県人会」などまでも開催している。日本人ほどではなくても、韓国やタイ、フィリピンなど多くのアジア出身者は、いろいろなクラブと銘打って固まり助け合う傾向にある。

 しかし中国人の知人はこう言う。「同じ国だからと簡単に信用してはいけない。日本人みたいにいい人ばかりではない。日本に来たばかりの頃は、紹介された中国人に金貸してくれといわれたことがある。それに、いろんなしばりがあるから、紹介しないほうがいいよ。喜ばれないから」

中国人をまとめて
食事に誘ってはいけない

 確かに同じ中国人にも、いろんな人がいるという気持ちはわからないでもない。

 しかし、ビジネスにおいては、理由はそれだけではないようだ。

 中国人は根本的に個人主義であり、チームワークを大事にしない。協調性を求める日本人と違い、個人の能力を伸ばそうと徹底的に能力主義にこだわる。

 つまり、同じ会社に自分以外の中国人が入社したら、その時点でライバル視し「なんで中国人を採用したのか? この会社には中国人は自分だけで不足しているのか?」「自分以外の中国人がなぜ必要なのか?」と採用した日本人に対しても不満を持ち始める。そして、何かと相手の悪口を言うなど、足を引っ張りあう。