「ずっと頑張ってきたのに、ある日ふっとやる気が湧かなくなった」――その原因は、心の弱さではなく、脳の疲労の蓄積にあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、燃え尽き症候群にもマインドフルネスが効くことを示す研究も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

【精神科医が解説】40代を過ぎても「燃え尽きない人」の習慣・ベスト1Photo: Adobe Stock

燃え尽き症候群は心の疲労の典型

――頑張り屋で真面目な人ほど、突然やる気を失ってしまう「燃え尽き症候群」に陥りやすいと言われています。これも脳の疲労と関係があるのでしょうか?

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):はい、燃え尽き症候群(バーンアウト)はまさに心の疲労の典型です。それまで1つの物事に没頭していた人が、心身の極度の疲労によって燃え尽きたように意欲を失い、社会に適応できなくなる状態です。実は、このような人たちにもマインドフルネスはかなり効き目を発揮することがわかっています。

マインドフルネスが感情的疲労を改善

――具体的にどのような効果があるのですか?

久賀谷:たとえば2009年にニューヨークの医師マイケル・クラスナーが発表した報告があります。

医師という職業は非常にストレスが大きく、燃え尽き症候群になりやすいのですが、70人の医師にマインドフルネスのプログラムを施したところ、燃え尽きのサインである感情的疲労の症状が25%も改善したのです。彼らのマインドフルネス習熟度を測定すると20%の上昇が見られ、その習熟度と感情的疲労の改善とのあいだに統計的に有意な相関性が見られました。つまり、マインドフルネスが疲労を和らげた可能性が高いと言えるのです。

最も科学的に裏づけられた休息法

――医療の最前線で働く人々の疲労を回復させ、燃え尽きを防ぐ可能性があるわけですね。

久賀谷:その通りです。また、スポーツ選手の脳疲労がマインドフルネスによって改善したという報告もあります。フェンシングやハンドボール、バスケットボールなど、一瞬の判断が求められる競技の選手たちです。極度の緊張やプレッシャーにさらされるアスリートにとっても、マインドフルネスは有効な手段となっているのです。

――マインドフルネスの効果について、かなり科学的に研究されているのですね。

久賀谷:ええ。もはやマインドフルネスは、最先端の脳科学や精神医学が大真面目に研究する「科学的休息法」になっているんです。休息の方法がここまで真剣に議論されたことは過去にありませんでした。現段階で最も科学的に裏づけられた最高の休息法だと言っていいでしょう。仕事や日常生活で消耗したと感じたとき、ぜひマインドフルネスを試してみてください。