「終わったことを引きずり、まだ起きないことを心配して、頭が休まらない」――その原因は、意識が「いまここ」から離れ続けていることにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、意識の「錨」となる呼吸への注意の向け方も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)
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先のことを考えると脳は疲れてしまう
――マインドフルネスの実践では、「呼吸に注意を向ける」という話が何度も出てきます。なぜ、他のことではなく「呼吸」なのでしょうか?
久賀谷亮氏(以下、久賀谷):意識を「いまここ」に向けるのに呼吸が最適なのです。
私たちの脳の疲労の多くが「過去と未来」から来ています。すでに終わったことを気に病んだり、これから起きることを不安に思ったりすることで、脳はエネルギーを激しく消耗します。
脳は休まることがなく、疲弊していくのです。とはいえ、先のこと・後のことに心を奪われた状態が当たり前になっていると、人間は「いまここ」に意識を向けるやり方を忘れてしまいます。そこで、呼吸です。
呼吸は「意識の錨」
久賀谷:私はよく、呼吸は「意識の錨(いかり)」だと説明しています。風が吹いたり波が荒れたりしても、錨があれば船は流されません。
どんな雑念が心に吹き荒れようとも、呼吸に意識を向ければ「いまここ」に戻って来ることができるのです。
――雑念が浮かんできたら、無理に消そうとしなくてもいいのでしょうか?
久賀谷:ええ。ほかの考えが浮かんでくるのは自然なことです。
浮かんできたらそれに気づくだけでいいのです。そしてまた、呼吸へと注意を戻します。この「気づいて戻す」という繰り返し自体が、脳を鍛える「心のストレッチ」になっています。いろいろなことが気になって仕方ないときは、呼吸に「1」「2」「3」……とラベリングしていくのも効果的ですよ。
呼吸に合わせて1から10まで数え、10までいったらまた1に戻ってください。
「自然な呼吸」を観察する
――呼吸をコントロールする必要はありますか?鼻から吸うとか、長く吐くとか……。
久賀谷:呼吸をコントロールしようとしたり、変えようとする必要はありません。自然に任せてください。ただ、吸う息と吐く息の温度の違いや、呼吸の切れ目など、細かなことに好奇心を持って観察することが大切です。そうすることで意識が「いまここ」にとどまり、しっかりと脳を休息させることができます。



