「十分すぎるほど寝たはずなのに、なぜか疲れている」――その原因は、身体ではなく脳が悲鳴を上げていることにあるのかもしれない。米国在住の精神科医・久賀谷亮氏の著書『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』には、脳から身体の痛みを癒やす「ボディスキャン」も書かれている。その一部をご紹介しよう。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)
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休んでも取れない疲労感
「休日ずっと家でゴロゴロしていたのに、休み明けの体が重い」「十分すぎるほど寝たはずなのに、なぜか疲れている」
休んでいるはずなのに、疲れが取れた感覚がまったくない。そんな経験に心当たりがある人は少なくないだろう。
私たちは「身体を動かさなければ休息になる」と思い込んでいるが、実はそれだけでは脳の疲れは取り切れない。疲労の正体は、筋肉や体力の消耗ではなく、「脳」そのものにあるからだ。
疲労感は「脳」が生み出している
最先端の医学では、疲労というものを単なる物理的な消耗ではなく、「疲労感」という脳現象として捉えるアプローチが進んでいる。脳が慢性的なストレスや情報過多によって疲弊すると、その状態は自律神経やホルモンを介して身体に反映される。つまり、私たちが感じている「身体のだるさ」や「局所的な痛み」は、悲鳴を上げている脳からのサインなのだ。
そこで有効なのがマインドフルネスである。脳の疲れを取り、脳の状態を変化させることで、間接的に身体の問題を解決することができる。
近年、うつ病治療などで保険適用も進んでいる「TMS磁気治療」という医療技術は脳に直接磁気を当てて働きを調整するが、マインドフルネスは磁気のような物理的な刺激なしに同様の「脳のリセット」を起こせる手法だと言える。
ベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』の中で、登場人物であるイェール大学教授の「ヨーダ」はこう言っている。
マインドフルネスで身体の痛みがとれる理由
マインドフルネスでなぜ痛みが改善するのか。まず、脳の中では痛みのコントロールに関わる前帯状皮質や島の活動が増し、身体の感覚を司る感覚野の活動が低下する。
これが短期的に効くメカニズムだ。さらに、マインドフルネスを継続的に行っている人は、反対に前頭葉の活動が減って、島や感覚野の活動が増すことがわかっている。痛みを意識的にコントロールするよりも、痛みそのものを受け入れながら対処する脳に変化している可能性がある。
脳から身体を癒やす「ボディスキャン」
本書で紹介されている、身体の痛みに有効だとされるマインドフルネス瞑想が「ボディスキャン」という手法だ。仰向けに寝転がるか椅子に座って目を閉じ、足のつま先から頭のてっぺんまで、順番に意識を向けていくというものである。
息を吸うときは、呼吸が鼻から入り、身体の中を通って足のつま先に吹き込まれるイメージを持つ。息を吐くときは、足のつま先にある空気が、身体の中を通って鼻から出ていくイメージ。この「スキャン」を身体の各部位に対してやっていく。こりや痛みを感じる部分があれば、そこに注意を向けて、感覚の変化を見逃さないようにするのがポイントだ。
やってみると頭も身体もスッキリした感覚が得られ、肩こりなどの痛みもやわらいでいる。
マッサージや栄養ドリンクでは解決しない慢性的な疲れに悩んでいるなら、まずは「脳」を休めるアプローチを試してみてはいかがだろうか。



