「休んだそばから、また疲れが溜まっていく」――その原因は、休み方ではなく、脳そのものが疲れやすい状態になっていることにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、瞑想が脳の構造そのものを変える「可塑性」のメカニズムも書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

「休んでいるのに疲れる」脳の疲労を解消するたった5分の習慣とは?Photo: Adobe Stock

瞑想は脳の「構造」そのものを変える

――マインドフルネスというと、ただのリラクゼーションや一時的なストレス解消法だと思われることも多いですが、『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』では「脳科学」の観点からそのメカニズムが詳細に解説されていますね。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):たしかに瞑想をすれば一時的に心が落ち着き、リラックスできますが、それだけではありません。マインドフルネスの最も面白く、かつ科学的に注目されているのは、脳の「働き具合」だけでなく、脳の「構造そのもの」を変えてしまう点にあります。脳が自らを変化させることを、脳科学では脳の「可塑性」と呼びます。

――瞑想をするだけで、脳の構造が変わるのですか?

久賀谷:ええ。たとえば、マサチューセッツ大学のジョン・カバット=ジンらが構築した「マインドフルネス・ストレス低減法」に関する研究があります。このプログラムを8週間にわたって実践した結果、脳の表層の最も進化した部分である「大脳皮質」の厚さが増したという報告がなされました。

簡単に言うと脳の機能が高まったということです。また別の研究では、左海馬や、後帯状皮質、小脳で灰白質の密度が増加したことも確認されており、とくに記憶に関連する脳部位が強化される可能性があります。

脳は「アップデート」できる

――脳の部位の容積や密度まで変わるとは驚きです。

久賀谷:それだけではありません。脳内のネットワークも変化します。

たとえば、経験のある瞑想者では、後帯状皮質と背側前帯状皮質あるいは背側前頭前野の連結が増していたという報告があります。これは、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の活動をコントロールできるようになっていることを意味します。

デフォルト・モード・ネットワークは、意識的な活動をしていないときに働く脳のベースライン活動です。これをコントロールできているということは、疲れづらい脳になっているということなんです。

――一時的な対処療法ではなく、根本的な脳の体質改善のようなものですね。

久賀谷:その通りです。

空になったバッテリーをただ「充電」するのではなく、バッテリーの容量そのものを大きくしたり、省エネなシステムにアップデートしたりするようなものです。1日5分でも毎日続けることで、脳の構造が変わり、つねに「疲れづらい脳」を手に入れることが可能なのです。