頭を抱えるスーツ姿の男性写真はイメージです Photo:PIXTA

「老後資金を作るために、無駄な保険を削って新NISAやiDeCoに回そう」…そう意気込む50代が増えています。ある53歳の会社員男性も、固定費削減の裏ワザを求めてFPの有料相談にやってきました。しかし、彼の家計のフタを開けてみると、FPが絶句するほどの目も当てられない「お金の穴」がぽっかりと空いていたのです。手っ取り早い投資に飛びつく前に見直すべき、多くの人が陥る“痛すぎる勘違い”とは?(家計再生コンサルタント 横山光昭)

保険を削って投資したい!
フタを開けて絶句した家計

 新NISAの定着やiDeCoの拡充に伴い、「投資でお金を増やさなければ老後が危ない」という風潮が社会全体に広がっています。特に、子どもが独立して人生の後半戦を迎えた50代にとって、「今からでも遅くない、なんとかして運用資金を作りたい」という思いは切実です。

 しかし、家計相談の現場を見ていると、この焦りがかえって判断を狂わせるケースが少なくありません。「投資を始めたい」「手っ取り早く固定費を削りたい」という気持ちが先走り、自分たちの家計がどういう状態にあるかを確認しないまま、「都合のいい手段」だけを求めて結果的に自分の家計を追い詰めてしまうのです。 

 今回紹介する会社員の吉川義人さん(53歳・仮名)と、専業主婦の妻の恵子さん(50歳・仮名)のご夫婦も、まさにその典型でした。

「毎月払っている保険料が重すぎるんです。もっと安い保険に乗り換えて、浮いたお金をそのまま新NISAやiDeCoに回せば、効率よく老後資金が作れますよね?」

 無料の保険ショップではなく、あえて有料相談に来た吉川さんは、プロにお金を払って“保険削減の裏ワザ”を教えてもらえば、手っ取り早く投資資金を作れるに違いないと期待しているようでした。

 吉川家には大学を卒業して独立した一人息子がおり、長年家計を圧迫してきた教育費からは解放されています。「子どもも巣立ったし、これからが本当の蓄え時だ」と意気込んでいたものの、なぜか思ったほど貯蓄が増えない。そこでネットで見つけた「保険の見直しで固定費削減!」という記事に飛びつき、「我が家の原因は保険料だ」と決めつけてやってきたわけです。 

 しかし、私が彼らの家計のフタを開けてみたところ、そこにあったのは保険の問題などかすんでしまうほどの、目も当てられないような「お金の穴」でした。