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「ここだけの話」「仲間内だから大丈夫」――そう思って社内チャットやグループLINEに書いた悪口が、思わぬ形で本人の目に入り、刑事事件に発展することがある。スクリーンショットや転送で、閉じたはずの会話は簡単に外へ出る。しかも、「本当のことを書いただけ」でも安心はできない。何げない一言が名誉毀損になる3つのポイントを、元刑事が解説する。※本稿は、元警察警部補の森 雅人著、弁護士の足立直矢監修『これだけで、逮捕「知らなかった」では済まされない29の落とし穴』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
「ここだけの話」でも
チャットは簡単に外へ出る
ある会社の営業部では、業務後、仲のいい5人のグループチャットで同僚Cさんについて話していた。
「Cって前の会社で横領して辞めたらしい」
「取引先とも怪しい関係があるって聞いた」
いずれも事実ではなかったものの、投稿した本人は「仲のいいメンバー内だけの話だし、外に出るわけがない」と考え、あることないことを仲間たちと話していた。
しかし、メンバーの1人が「これヤバくない?」と別の同期にスクリーンショットを送信。それがさらに別部署へと転送され、社内で噂が広まった。Cさんは精神的苦痛を理由に警察へ相談。捜査の結果、最初に送信した人物が特定され、警察は「伝播する可能性がある環境での発信」と判断し、名誉毀損の疑いで書類送検された。
刑事時代、この手のトラブルでよく感じたことがあります。それは、多くの人が「ここだけの話」だと思っていることです。社内チャット。グループLINE。仲のいい同僚とだけのメッセージ。だから大丈夫。外には出ない。そう思っている人が本当に多いのです。
しかし、私は捜査の中で何度も、外に出ないはずだった会話が外に出る瞬間を見てきました。誰かがスクリーンショットを撮る。誰かが別の人へ転送する。退職した社員が保存している。
チャットに送った瞬間、その言葉は自分の手を離れます。自分の手を離れた言葉が次にどこへ行くかは、もう自分では決められません。そして一度外へ出た言葉は、元には戻りません。
私が特に怖いと思うのは、人は閉じた空間にいると、安心してしまうということです。普段なら言わないようなことを言う。普段なら書かないようなことを書く。それが積み重なります。
同僚しか見ないと思った一文が、会社中に広がる。会社だけの話だと思った一文が、法廷で読み上げられる。その可能性を忘れた時、人は簡単に一線を越えてしまうのです。
噂話が真実だったとしても
名誉毀損罪は成立しうる
このケースで問題になるのは、名誉毀損罪です。難しく聞こえるかもしれませんが、ポイントは3つしかありません。
(1)事実を示しているか
まず重要なのは、「事実を語ったかどうか」です。たとえば、「嫌い」「無能」といった表現は評価や感想です。一方で、「横領している」「取引先と癒着している」などは、具体的な事実を示していると評価される可能性があります。
ここで重要なのは、その内容が本当かウソかではありません。「事実として語ったか」が問題になります。







