定年退職後、イキイキと過ごす人がいる一方で、急に老け込んでしまう人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか? 実は、引退後の過ごし方には「男女」で明確な違いがあり、それが健康や認知機能に大きな影響を与えていることがデータから明らかになっています。書籍『働き方の科学』より、エビデンスに基づいて「定年後の人付き合い」がもたらす意外な真実を紹介します。(構成/上村晃大)
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引退後に「孤独」になる男性、交流を深める女性
定年退職を迎え、長年勤めた会社を離れると、毎日の生活リズムは大きく変わります。
自由に使える時間が増え、趣味や運動に打ち込み、健康になる人がいる一方で、やることがなくなって調子を崩してしまう人もいます。
実は、定年後を健康的に過ごせるかどうかには、男女で明確な差があることがデータで示されています。実は、男性に比べて女性のほうが、引退することで認知機能が大きく改善するというのです。
その理由の一つが、「引退後の人間関係」の違いです。書籍『働き方の科学』では次のように説明されています。
男性の場合、現役時代の人間関係が仕事関係で占められていることが少なくありません。そのため、退職と同時に社会との接点が失われ、孤立してしまうケースが多いのです。
人付き合いが「認知症リスク」を3割下げる
この「人付き合い」の有無は、私たちの想像以上に健康に直結しています。他者と会話を楽しんだり、一緒に活動したりすることは、非常に良い刺激となるからです。『働き方の科学』では次のように説明されています。
愛知県武豊町は、高齢者の認知症・要介護予防のため、2007年から「サロン」と呼ばれる交流スペースを開設しました。サロンでは、参加者同士がおしゃべりをしたり、折り紙・ゲームをしたり、さまざまな活動が行われています。
サロンに参加した人は、していない人に比べて認知症の発症者数が約3割少ないということを示した研究があります(*2)。この研究でも、サロン参加者は男性よりも女性のほうが多いことが報告されています。
地域の交流スペースに積極的に足を運び、おしゃべりやゲームを楽しむことで、認知症のリスクを大幅に減らすことができたのです。しかし、ここでも女性の参加者のほうが多く、男性は地域のコミュニティになかなか溶け込めない傾向があることが浮き彫りになっています。
著者の佐藤氏によると「健康麻雀や焚き火会を開催することで、男性を集めることに成功しているコミュニティもある」とのことです。男性は、自分が参加しやすい趣味の会を見つけることが、定年後を健康的にすごすカギのようです。
*1 Bosma, J. J. A., Henkens, K., & van Solinge, H. (2025). e di erential impact of retirement on contact frequency with family, friends, neighbors, and coworkers. The Journals of Gerontology: Series B, 80(6), gbaf042. https://doi.org/10.1093/geronb/gbaf042
*2 Hikichi, H., Kondo, K., Takeda, T., & Kawachi, I. (2017). Social interaction and cognitive decline: Results of a 7-year community intervention. Alzheimer’s & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions, 3(1), 23-32. https://doi.org/10.1016/j.trci.2016.11.003








