世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”出口治明元APU学長。宮部みゆき氏などから絶賛されている出口氏の『哲学と宗教全史』をもとに、哲学と宗教の視点から見る「ココロもカラダも絶対すり減らさないエピクロスの生き方」とは? ライターの照宮遼子氏が報告する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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残業帰りのビールの至福と翌日のしっぺ返し
以前、残業終わりに同僚とよく飲みに行っていた。
寄り道などせず、まっすぐ帰って寝ればいいと頭ではわかっていても、キンキンに冷えたビールの誘惑にはあらがえなかった。
仕事の愚痴を話し、どうでもいい話で盛り上がる時間は、たしかに楽しかった。
だが翌朝になると、しっぺ返しがくる。
睡眠は浅く、前日の仕事の疲れもアルコールも抜けていなかった。
疲れを吹き飛ばしたつもりが、ただ翌朝に持ち越しただけだった。会社へ向かう足取りは、いつもより重く感じた。
誤解されている「エピクロス」の快楽とは?
楽しい時間を増やすことが快楽だと思いがちな私たちに、『哲学と宗教全史』(出口治明著)で紹介されるエピクロス(BC341~BC270)の思想は別の見方を示している。
――『哲学と宗教全史』より
快楽という言葉からは、飲食や娯楽のように、気分を高めてくれるものを思い浮かべやすい。けれど、エピクロスが求めた快楽は、そうした刺激を増やすことではなかった。
むしろ、欲望に振り回されず、日々を穏やかに過ごせることこそが、人間にとっての快楽だった。
楽しみは、疲れた心を軽くしてくれることもある。けれど、その楽しみのあとに、さらに強い刺激が欲しくなったり、疲れや不満が残ったりするなら、それは求めていた快楽とは違ってくる。
幸せの意味を考え直そう!
現代は、少し疲れたとき、気持ちを切り替える方法はいくらでもある。けれど、それが増えたからといってラクになるとは限らない。
だからこそ、「何を足せば満たされるか」ではなく、「何を減らせばラクになるか」という見方が大切になる。
本書は、古代から現代までの思想を通して、私たちが当たり前だと思っている幸せの形を見つめ直してくれる。ココロもカラダもすり減らさない生き方を、改めて考えるきっかけになる。





