ラスベガスの格安ビュッフェ、赤字覚悟の孤独な闘いカジノホテル「サウスポイント」のビュッフェに並ぶケーキ。赤字が月200万ドルに上ることも

【ラスベガス】この街のカジノホテル「サウスポイント」のレストラン11店は、月に150万~200万ドル(約2億4600万~3億2800万円)の赤字を出している。オーナーはやり方を変えるつもりはない。

 赤字の大きな要因は、1日約3000人が利用するビュッフェだ。朝食は16.95ドルからで、カクテルのブラッディマリーが2杯付く。かつては飲み放題だったが、1人の客が酔って倒れたため廃止した。

 「ベガスに来れば、やりたいことは何でもそろっている」。黒いカウボーイハットをかぶったゼネラルマネジャーのライアン・グロウニー氏はそう話す。「ビュッフェでは、思いつく限りのものが食べられる」

 街にはかつて、サウスポイントのように安い食べ放題の店がいくつもあった。赤字覚悟だが、カジノに客を連れてきてくれた。だが新型コロナウイルス禍の後、多くが閉店した。要因はソーシャルディスタンシング(他人との距離確保)規制と、客層が変化して食への出費を惜しまない富裕な旅行者が増えたことだ。

 2020年3月に顧客満足度に関する論文を執筆していた研究者が、ラスベガス・ストリップ(大通りの一角)沿いのビュッフェ十数店を調査した。このうち現在も残っているのはわずか4店だ。

 サウスポイントのビュッフェは客足が増え続けている。

 金曜日の正午には、午後3時から始まる「シーフードナイト」を待つ行列ができ始める。価格は52.95ドルから。メモリアルデー(戦没将兵記念日)とベテランズデー(退役軍人の日)の祝日には、退役軍人と配偶者が無料になるため、カジノのフロアをぐるりと一周するほど長い行列ができる。待っている間に、フロアのカートで売られている1.50ドルのホットドッグをつまむ客もいる。