米コストコ「時給5000円、貯蓄1億円超」のレジ係トニー・バザーさんはコストコで40年働いてきた

【ツーソン(米アリゾナ州)】米会員制量販店コストコでレジ係として働くトニー・バザーさんは弁当を休憩室に置くと、出勤時間を記録してレジに向かった。この一連の流れはほぼ40年間、変わっていない。

 いつものようにこの日も、60歳のバザーさんは6台のレジが並ぶセルフレジのコーナーを任された。午前9時2分、最初の買い物客たちが会計を始めようとしていた。

「お客様、こちらにどうぞ」。バザーさんは列に並んでいた女性客に向かって、空いているレジに進むよう身振りで促した。「こんにちは。お探しの品は全て見つかりましたか」。バザーさんはハンドスキャナーを手にレジを回りながら、男性客にそう話しかけた。

 バザーさんのように勤続年数が長い従業員は、コストコの秘密兵器だ。同社の幹部によると、こうした従業員は信頼できて経験も豊富なうえ、会計待ちの客を素早くさばくこともできる。経験が浅い従業員に対しては、指導役として会社独自の文化を伝える役割を果たしているという。

 バザーさんの報酬と福利厚生には、コストコにとってのバザーさんの価値が表れている。バザーさんによると、現在の時給は32.9ドル(約5300円)で、確定拠出年金「401k」の資産のおかげで退職後のための貯蓄は100万ドル(約1億6000万円)を超えているという。バザーさんはコストコが提供する医療保険に加入していて、定額の自己負担額は一般診療で15ドル、専門医を受診した場合は25ドルと、全国平均を大幅に下回っている。2009年にはバザーさん一家は寝室が三つ、バスルームが二つあるプール付きの一戸建て住宅を購入。一家はこの10年で2回、欧州旅行も楽しんだ。

 若い頃は「自分や自分の家族が今のような生活にたどり着けるとは思っていなかった」とバザーさんは話す。「引退することもできるが、何をしたらいいのか分からない。コストコは私によくしてくれた」