「部下を励ましたつもりなのに、なぜか反応がいまひとつ」「『頑張って』と言っても、以前ほど響いていない気がする」――そんな経験をしたことはないだろうか。「頑張って」は決して悪い言葉ではない。しかし、優秀なリーダーは、その一言だけで終わらせない。では、部下が前向きに仕事へ取り組めるよう、「頑張って」の前に何を伝えているのだろうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その考え方を解説する。

優秀なリーダーが「頑張って」の前に添える一言・ベスト1Photo: Adobe Stock

「頑張って」は悪い言葉ではない

部下に仕事を任せるとき、「頑張って」と声をかけることがあります。励ますつもりで使っている言葉ですから、もちろん悪い言葉ではありません。

ただ、状況によっては「もっと努力しろということか」「あとは一人でやって、という意味なのかな」と受け取られることもあります。同じ「頑張って」でも、前に添える言葉一つで、受け取り方がまったく変わるんです。

優秀なリーダーは「なぜやるのか」を伝える

優秀なリーダーは、ただ「頑張って」と言うだけではありません。その仕事が誰のためになり、どんな意味を持つのかを短く伝えます。

答えはシンプルです。「チームのためにも、頑張って」――この一言です。

これは命令ではありません。「あなたの仕事は、チーム全体につながっている」「あなたの力を必要としている」と伝える言葉です。
「一人で頑張る仕事」ではなく、「チームで成果を出す仕事」だと伝わるのです。

人は「仕事の意味」が見えると動きやすい

単に仕事を振られると、「なぜ自分がやるのか」「やっても誰にも気づかれないのではないか」と思いやすいものです。
でも、「これをまとめてもらえると、みんなが次の仕事に入りやすくなる」「チームのためにも、力を貸してほしい」と言われると、自分の仕事と周囲とのつながりが見えてきます。

「頑張って」は努力を求める言葉です。でも「チームのためにも」は、その努力の意味を伝える言葉です。この違いが、部下の動き方を変えます。

明日から使える3つの例

「この資料があると、次の人が動きやすくなる。チームのためにも、頑張って」
「今回の経験は、あなた自身の成長にもなる。チームのためにも、頑張って」

「全部一人で抱えなくていい。チームのためにも、困ったら早めに言って。頑張って」

「頑張って」前に「チームのためにも」と添えるだけで、単なる励ましが、仕事の意味を伝える言葉に変わります。
部下は自分の仕事が誰かの役に立っていると感じたとき、もう一歩前に進みやすくなるんです。i