「お客様だから、我慢しなければならない」――そんな空気が残る職場は少なくない。しかし、理不尽なクレームや暴言から部下を守れないリーダーは、部下からの信頼も失ってしまう。令和8年10月には企業のカスタマーハラスメント対策が義務化されるなど、管理職に求められる役割も変わり始めている。では、部下を守るリーダーは、カスハラ客に何と伝えているのだろうか。話題の書『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が解説する。
Photo: Adobe Stock
お客さんが一番ではない
「お客様を大切にする」。これは間違いありません。
でも、リーダーがもっと大切にすべきなのは、一緒に働く仲間です。
ときには、お客さんよりも部下を守る判断をしなければならない場面があります。
そのときに動けるかどうかで、リーダーへの信頼は大きく変わります。
会社員時代にこんな経験をしました。
顧問先を訪問し、担当者を待っていたときのこと。
事務所に戻ると、上司から「さっき顧問先から電話があったよ。待ってる間、座って漫画読んでたって」と言われたんです。
全力で否定しましたが、上司は怪訝そうな顔をしている。
「このリーダーの下では働けない」と、本気で思いました。
部下の話も聞かずに、お客さんの言葉だけを信じる
――その瞬間、部下は「この上司は守ってくれない」と感じます。その信頼は、一度失うとなかなか取り戻せません。
「お客様は神様」の限界
飲食店をはじめ、サービス業では「お客様は神様」という言葉があります。
売上を左右する存在として、お客さんを大切にする姿勢は必要です。
でも、その言葉が盾になって、理不尽な要求や迷惑行為が許容されてしまうケースが後を絶ちません。
無理難題を押しつける、大声で怒鳴る、スタッフに執拗に絡む
――こうしたカスハラは、従業員の心身を確実に傷つけます。
令和8年10月からカスハラ対策が義務化されますが、現場への浸透にはまだ時間がかかります。
だからこそ今、リーダーが自ら動くことが求められています。
リーダーが毅然と伝える
お客さんから迷惑行為があったとき、リーダーはその場に出て、こう伝えてください。
「当店では、スタッフへのそのような行為はお断りしています。ご理解いただけない場合は、今後のご利用をお断りいたします。スタッフが安心して働ける環境を守るため、ご理解をお願いいたします。」
穏やかに、しかし明確に。毅然とした態度で伝えることが大切です。
この一言を聞いた部下は、「この上司は自分たちを守ってくれる」と感じます。
その信頼が、チームの結束と仕事へのモチベーションを支えます。部下を守ることも、リーダーの大切な仕事なんです。








