40代を過ぎて、「自分にしかできない独自の仕事」に誇りを持つビジネスパーソンは多いものです。しかし、その「職人肌のプライド」こそが、実は組織の属人化を招き、あなた自身を変化から取り残される老害へと変貌させていく毒であることに気づかねばなりません。市場が求めるのは、特定の個人に依存しない「再現性」です。今回は、書籍『リーダーの仮面』をもとに、会社にいつまでも必要とされるプロフェッショナルが40代で捨てている「間違ったプライド」について考察する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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「自分にしかできない仕事」という罠
40代になり、社内でベテランの域に入ってくると、多くの人が「替えの利かない存在」になりたがります。
「この業務の進め方は、自分にしかわからない」
「あの取引先との関係は、自分がいるから維持できている」
このように、業務をブラックボックス化(属人化)し、自分の独自のポジションにしがみつくことで、社内での存在意義と安心感を得ようとするのです。
しかし、これは組織にとっても、本人にとっても極めて危険な状態です。
その人が休んだり退職したりした瞬間に業務がストップしてしまう組織は、経営リスクそのものです。
また、本人にとっても、その業務に依存している限り、新しい仕事に挑戦するチャンスを自ら放棄していることになります。
属人化という名の甘い麻薬に依存したベテランは、組織が変化を迎えた瞬間、「独自のこだわりばかり強くて、新しいルールに適応できないお荷物」として真っ先に切り捨てられる悲惨な末路を迎えます。
数字を追いかけた先にしか「自分らしさ」は生まれない
『数値化の鬼』という本では、この「自分らしさ」や「自分にしかできないこと」に執着する順序の間違いについて、次のように明確に指摘しています。
数字を追いかけ、ふと振り返ったときに初めて「あなたの強みは○○ですね」と、自分らしい個性が出るのです。その順番を間違えないでください。
数字はとことん「客観的」にしてくれる。
数値化は、感情を横に置いてラクにしてくれるツールでもあります。
――『数値化の鬼』より
本当に優秀で、何歳になっても会社から必要とされ続けるプロフェッショナルは、「自分にしかできない仕事」という無駄なプライドを40代のうちに完全に捨て去っています。
彼らが徹底しているのは、自分の持つノウハウや経験をすべて「数字」と「再現性のある型(マニュアル)」に落とし込み、誰が担当しても同じパフォーマンスが出せる仕組みにすることです。
「自分が抜けたら困る」という状況を作るのではなく、「いつでも他の人に引き継げるように、自分の仕事を徹底的に仕組み化しておく」という謙虚な姿勢を持っています。
「歯車であること」を認める強さ
自分が「替えの利く歯車である」と認めることは、寂しいことのように思えるかもしれません。
しかし、これこそが最大の生存戦略です。
自分の担当していた仕事を仕組み化して手放すことができるからこそ、さらに上のポジション(マネジャーや経営層)に昇進し、より大きな「変数」を扱うチャンスを手に入れることができるのです。
40代のビジネスパーソンは、属人化した既得権益にしがみつくのを今すぐやめましょう。
リーダーの仮面をかぶり、まずは客観的な数字で淡々と自分の役割を果たし、そのノウハウを組織全体に開示して「再現性」を持たせる。
自分のやり方に固執せず、ルールに徹底して適応し、かつ他者も適応させる仕組みを作れる人。
その「数字と型」を尊ぶ謙虚な背中こそが、組織の信頼を勝ち取り、定年後も求められ続ける真の一流ビジネスパーソンの条件なのです。




