「みんなの不満や納得をすべてクリアしてから前に進もう」とする優しさが、結果として誰も成長しない停滞したチームを作ってしまいます。組織を変えようとするとき、必ず一部からの反発が生じるのは、変化を嫌い現状維持を好む人間の本能的な行動原理だからです。この本質を前にしてブレてしまうリーダーは、決して人の上に立ち続けることはできません。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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「八方美人」なリーダーの限界
45歳前後を迎え、そろそろ中間管理職としてのキャリアの岐路に立つビジネスパーソンに最も多いのが、「メンバー全員の意見を汲み取り、誰もが納得したうえでルールを決めよう」とする態度です。
「新しいシステムを導入したいけれど、営業の古参が嫌がっている」
「残業を減らしたいけれど、部下たちから反対されている」
そうやって、一人一人の不満や感情に寄り添い、説得や腹落ちをさせようと時間と労力を費やします。
一見するとこれは「民主的で対話を重んじる優しい上司」に映るかもしれません。
しかし、現実はただ決着をつける勇気がなく、嫌われる恐怖から逃げているだけです。
全員が納得する決定などこの世に存在せず、全員の顔色をうかがった結果、何も決まらない「生ぬるく成長のないチーム」が出来上がります。
成長したい人の基準で線を引け
『とにかく仕組み化』という本で私は、全員の納得を求めることの愚かしさを次のように一喝しています。
政治でも、100%全員が満足できる政策はありません。
どこかで「線引き」が必要になります。
会社での判断軸は、1つです。
「ちゃんと成長したい人が成長できるかどうか」
それだけです。
――『とにかく仕組み化』より
新しいルールや仕組みを入れるとき、現在既得権益を持っている人や、頑張らずにやり過ごしたい人たちからは、100%反発が起きます。
そこでひるんで妥協するのではなく、「これから本気で頑張って成長したい」と願う優秀な人のために、毅然とルールを決め、明確な線引きをするのが上に立つ者の役割です。
成長意欲のない人々の愚痴に妥協して基準を下げることは、成長したい意欲のある人の機会を奪う「最大の不公平」なのです。
「全員納得」の呪縛から逃れろ
45歳で出世の頭打ちを迎える人は、いつまでも「みんなにいい顔」をしようとして、結局誰からも信頼されない調整役へと退化します。
一方で、さらに上の役職へ昇りつめる人は、反発を恐れず、「このルールで進めます」と自分を主語にして言い切る決断力を持っています。
リーダーは迷わず仮面をかぶり、チーム内の不満やノイズをスルーしなければいけません。
すべての人を納得させることは不可能です。
やるべきことは、明確な基準を敷き、そこへ部下を適応させること。
その厳格な決断こそが、成長を渇望する優秀な部下をチームに残し、組織を真の勝利に導くのです。




