悩まない人の「頭の中」では何が起こっているのか? いま英語、ドイツ語、スペイン語、オランダ語、イタリア語、ロシア語など翻訳オファーが相次いでいる本がある。木下勝寿氏の『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』だ。本書から「どんなピンチでも悩まない方法」をライター柴田賢三氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

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Tシャツに短パンで現れた経営者たち

 先日、銀座で開かれたお金持ちたちの飲み会に呼ばれた。

 全員がアラ還のおっさんで、私を招待してくれたのは、父親から都内一等地の不動産をいくつも相続した資産家の山本さん(仮名)。

 主賓は、メンバー内では最年少ながら年商数十億の建設系の会社を父親から継いで順調に業績を伸ばしているという佐藤さん(仮名)で、もう一人は十代以上続く老舗佃煮屋を継いだ丸田さん(仮名)だった。

 事前に山本さんから「VIPの集まり」だと聞いていた私は、各地で40度を超える酷暑日を記録していた時期に、わざわざジャケットを着て行った。

 山本さんとコーヒー1杯1000円以上する銀座の喫茶店で待ち合わせたが、連れて行かれたのは煙が店内に充満する大衆焼肉店。私以外の参加者は、全員がTシャツに短パンだった。

一番明るい社長を襲った悲劇

 二次会も、銀座なのにカラオケが大音量で鳴り響くスナック。本当の金持ちは、こういう遊び方をするとは聞いていたが、実際に参加してみると、新橋の会社員と大差ない飲み方だ。ただ、お金はあるのでポンポンと高級なシャンパンを空け、深夜になると「テキーラ観覧車」まで続々と出てきた。

 ここまでに、佃煮屋の丸田さんが小学生でも引っかからないようなうさんくさい投資話で大損したり、知り合ったばかりの女性に大金を持ち逃げされ窮地に陥っていることを聞かされていたが、彼が一番明るかった。

 対して山本さんと佐藤さんは酔いが回るにつれ、新しい事業がうまくいっていないとか、ハゲの治療に大金を払ったが生えてこないとネガティブな話ばかりになっていく。
 ちなみに、先祖代々の店まで失いそうな丸田さんはスキンヘッドでホステスに甘えていた。

悩みをうまく回避する「考え方のクセ」

「北の達人コーポレーション」の社長・木下勝寿氏の著書『悩まない人の考え方――1日1つインストールする一生悩まないスキル30』の中にも、似たような事例が紹介されている。

 いずれも木下氏の知人の経営者で、一方は前年に6億円だった役員報酬が5億円になって落ち込み、もう一人は借金が5億円もあるのにいつもニコニコしていて休日にはゴルフを楽しんでいるとして、後者のメンタルを次のように分析していた。

彼は、決してやせ我慢をしているわけでも、極度にポジティブ(というか無神経?)だったりするわけでもない。
悩みをうまく回避する「考え方のクセ」を身につけているだけなのだ。

――『悩まない人の考え方』より

 木下氏は同書を通して、考え方を変えるだけでほとんどの悩みは解消すると教えてくれているが、丸田さんは自然にその考え方を身につけているのだろう。

 私は、古くからの友人の山本さんではなく、底抜けに明るい丸田さんと積極的に会話をしていたが、彼が5台目の「テキーラ観覧車」を頼んだところで銀座から逃げ出した。