「370兆円投資」だけで日本は成長しない、高市改造内閣は農業・医療・雇用に残る“規制の壁”を崩せるかPhoto:JIJI

高市内閣の改造で、日本維新の会の中司宏氏が規制改革担当相に就任した。370兆円の官民投資を民間投資につなげるには、財政支出だけでなく、新規参入や人材移動を妨げる制度の見直しが欠かせない。農業、医療・介護、労働市場、少子化対策を中心に、今後の規制改革の課題を考える。(昭和女子大学総長顧問 八代尚宏)

維新・中司氏が規制改革相に
高市政権の成長戦略を左右する試金石

 高市内閣の改造人事では主要閣僚の多くが留任する中、日本維新の会の中司宏氏が初入閣し、規制改革担当相に就任したことが注目される。

 維新はこれまで、国会議員定数の削減、副首都構想、社会保障改革など、「効率的な政府」を目指す制度改革を掲げてきた。今回、その維新出身の閣僚が規制改革と行政改革を担当することになった。既存の制度や規制をどこまで実際に変えられるかは、維新の連立政権内での存在意義だけでなく、高市政権の成長戦略の成否を左右する重要な試金石となる。

 改革の柱として考えられるのは、第1に、官民370兆円の投資構想を民間投資につなげるため、企業の新規参入を阻む規制を見直すこと。第2に、新規投資を担う人材を成長分野へ移動させるため、労働市場の流動性を高めること。第3に、加速する出生数減少に歯止めをかけるため、少子化対策を現金給付偏重から働き方や保育サービスを含む制度改革へと広げることである。

 さらに、こうした改革を早期に実現するには、全国一律で制度を変更するだけでなく、「副首都特区」など地域を限定して大胆な規制改革を試す新たな枠組みも検討に値する。

 次ページでは、成長投資、労働市場、少子化対策、地方分権という4つの視点から、今後求められる制度・規制改革を考える。