世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”出口治明元APU学長。宮部みゆき氏などから絶賛されている出口氏の『哲学と宗教全史』をもとに、哲学と宗教の視点から探る「サルトルが考えた本当の自由」とは? ライターの照宮遼子氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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フリーランスの現実
フリーランスになってから、平日の昼間を自由に使えるようになった。
働く時間も場所も、自分で決められる。けれど、収入は不安定だし、旅行に行っていても仕事の連絡は入る。
会社に縛られなくなれば、もっと気楽になると思っていた。
ところが実際には、時間を自由に使えるようになっても、思い通りに生きられるわけではなかった。
サルトルが考えた「自由の現実」とは?
人は、どこまで自分の生き方を選べるのだろう?
人間が置かれた現実と自由の関係を考えたのが、『哲学と宗教全史』(出口治明著)で紹介されている、フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトル(1905~1980)である。
それが個人の自由の現実である。
しかしその個人を拘束している現実に対して、個人が主体的に行動することは可能である。
そのことは人間の実存の本質を変革することにもつながる、とサルトルは考えたのです。
――『哲学と宗教全史』より
生まれた環境や時代など、自分では選べないものもある。
それでも、その現実の中で何をするかまで決められているわけではない。
サルトルは、そこに人間の自由があると考えた。
「アンガージュマン」とは、変えられない現実の中でも、自分にできることを考え、行動することを指す。
そうして人は、自分の生き方を変えていくのだ。
自由の捉え方が変わる!
今は、進学や就職、結婚、暮らし方など、以前より多くの選択肢がある。
けれど、選べることが増えても、すべてを思い通りにできるわけではない。
年齢や経済状況、家族との関係など、自分だけではどうにもできないこともある。
それでも、条件が整うまで待っているだけでは、人生は動かない。
何を選べるかではなく、今ある条件の中で何を選ぶか。
サルトルが示したのは、「選べる道が多いほど自由だ」とは限らないということ。
制約が残っていても、自由まで失われるわけではない。





