「何か話さなきゃ」と焦るほど、何も言葉が出てこない。そんな気まずい沈黙を経験したことはないでしょうか。会話を続けるために必要なのは、次の「言葉」を必死に探すことではありません。頭の中に「絵」を浮かべることなのです。本記事では、書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』の中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「会話が続かずに気まずい」とき、何をすれば切り抜けられるのか?

「次に何を言おう?」と考えるから苦しくなる

 初対面の人と2人きりになったとき。

 会食で、隣の人との話題が途切れたとき。

「…………」

 沈黙が訪れると、焦ります。

「何か話さなきゃ」
「次の話題はなんだ?」

 そうやって必死に言葉を探すのですが、考えれば考えるほど何も出てこない。

 ここで発想を変えてみましょう。
 探すべきなのは「次の言葉」ではありません。

 いま出てきた言葉から、「絵」を思い浮かべるのです。

言葉以外にどんな方法で伝えればいいのか?
絵で描くように伝えるのです。
「絵を描いて伝える」ではありません。「描くように」です。
私はイラストを描くとき、まず言葉から「イメージ」を膨らませます。
そのあと、それを具体的な絵にしていきます。
みなさんにやっていただきたいのは、その途中までの工程。
「言葉からイメージを膨らませること」です。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 たとえば、相手が、「この前、京都に行ったんですよ」と言ったとします。

 会話が苦手だと、「京都か……。京都について何を話せばいいんだ?」と考えてしまいます。

 でも、「京都」という言葉を頭の中で絵にしてみる。

 お寺。紅葉。新幹線。外国人観光客。旅館。抹茶。細い路地。
 いろいろなものが浮かんできます。

 すると、「どのあたりに行ったんですか?」「やっぱり外国人、多かったですか?」「何を食べました?」と、自然に質問が出てきます。

言葉ではなく「その先にある景色」を見る

 会話が続く人は、次から次へと面白い話題を持っているように見えます。
 でも、必ずしもそうではありません。

 相手が発した言葉から、その背景にあるイメージを膨らませれば、聞けることはいくらでも出てきます。

「昨日、子どもの運動会だったんですよ」と言われたら、「運動会」という単語だけを見ない。
 頭の中で運動会を思い浮かべます。

 グラウンドがある。子どもが走っている。親が見ている。お弁当がある。場所取りをしている。ビデオを撮っている。

 そうすれば、「何に出たんですか?」「場所取り、大変じゃなかったですか?」「ちゃんと撮影できました?」と聞ける。

 ひとつの言葉の奥には、たくさんの「見えているもの」が隠れているのです。

「何を聞けばいいか」も見えてくる

言葉を思いついたときや聞いたときに、目をつぶって想像してみる。
そのワンクッションを、ぜひやってみてほしいのです。
それができれば、より適切な言葉を見つけることができるようになります。
誰かの言葉を聞いたときも、質問すべきことは何かに気づきやすくなります。
言葉で言い表せることは、頭に浮かんだイメージの中のごく一部。
そのことに気づけば、コミュニケーションはとても楽になるはずです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 会話が続かないとき、多くの人は「自分から何を話そう」と考えます。

 しかし、自分で新しい話題を生み出す必要はありません。
 相手がすでに話してくれた言葉から、イメージを広げればいい。

 そして、そのイメージの中で気になったところを質問する。

「旅行しました」→どこに行ったんだろう。
「転職しました」→どんな会社なんだろう。
「引っ越しました」→どんな部屋なんだろう。
「犬を飼っています」→どんな犬なんだろう。

 言葉を聞いた瞬間に、頭の中で一枚の絵を描いてみる。
 すると、その絵には「まだ見えていないところ」が必ずあります。

 そこを聞けばいいのです。
 会話が続かないときは、言葉を探すのではなく、相手の言葉を「絵」にしてみる。

 沈黙を埋める次の一言は、その絵の中から見つかるのです。

ヤギワタル
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。